Technological audio Works. 情報局

BMS制作時の裏話とか載せるブログ。

カテゴリ: 雑記

 皆さまいかがお過ごしでしょうか?TaWでございます。
 M3-2025秋も無事(?)閉幕し、次の作品に向けての構想を練る今日この頃です。改めまして当日弊サークルのスペースを訪れてくださった皆さま、ありがとうございました。


 さて、M3の報告記事は別の場所で既にやってるから…というわけではありませんが、今回は全く別の話題です。
 以前私はUNLiMiTED STUDIO制作の音ゲー・『SENVEN's CODE』についての思い出を語る記事を書きましたが、その中において
・・・(前略)

 さて、セブンスコードは終焉を迎えてしまうわけですが、なんとこのゲーム、楽曲の権利が割と自由度の高い状態だったらしく、なんだかんだで他の音ゲーでも楽曲が遊べたりします。  例を挙げると、
・REDRAVE(CHUNITHM)
・サンカヨウ(Lanota)
・MAX 428(StepManiaX)  
 最後のは国内で遊べるのが筐体個人所有者を除くとWGCのみですが、楽曲を試聴して興味を持った方、環境があれば遊んでみるのはいかがでしょうか。

(後略)・・・
と多くの国内音ゲーマーは知らないであろうタイトルを1つしれっと紛れ込ませていました。

 本記事はそんな(日本国内では)マイナータイトルな音ゲー・StepManiaX(以下、SMX)について語り倒していこうと思います。





序. そもそもSMXって何よ?
 
…と大半の方が思っていると思うので、本題に入る前にこのゲームの背景知識を少々語っておきましょう。
 SMXはアメリカのStepRevolution社が開発しているダンスシミュレーション(?)ゲームで、画面スクロールで現れる矢印を楽曲のリズムに合わせ、適切なタイミングで踏む…という、所謂「踏みゲー」というジャンルに属するゲームです。
 このゲームを語るうえで避けて通れないのが、よく似たゲームであるDance Dance Revolution(以下DDR)の存在、そしてそれにまつわるとある騒動です。

※こんな記事書いておいてあれですが、本項は又聞き情報が大半のため誤りを含む可能性があります。話半分でお読みいただけると幸いです。
 今やBEMANI PRO LEAGUEの1種目として激戦が繰り広げられているダンスシミュレーション(?)ゲーム、DDR。
 しかし、AC版DDRは一度開発が中断され、新作が出なくなった時期があります(EXTREME~SuperNOVAの間の空白期間)。理由は言うまでもなく人気の低下。
 その頃、日本国内の人気の低下とは裏腹にアメリカではDDR人気が継続しており、新作が出なくなったことを嘆いた一部のファンはなんと「じゃあ俺たちでDDR作っちまおうぜ!!」DDR筐体をジャックした新作ゲームを稼働させてしまいました
 それがいろいろな意味で有名なIn The Groove(ITG)

 …当然こんなことをDDR開発元のKONAMIが見逃すはずもなく、裁判の末ITGの開発は終了。開発チームスタッフの一部はDDRのライバルゲーム・Pump It Up(以下PIU)の開発元であるアンダミロと協力してPIUの派生作品であるPIU Proシリーズを開発しました。
 そんなPIU Proも2013年のINFINITYでシリーズが一区切りとなり、PIU Pro開発者のKyle Ward氏がそれからいろいろあった後に2017年からプロデュースしている新作ゲーム、それがSMXです。
 早い話がITGの精神的後継作です(現にITGからの移植曲が多数入っています。例を挙げるとEnergizerとかDance Vibrationsとか)。ただし、DDR筐体を拝借していたITGとは異なり、SMXはDDRに似ているとはいえ完全オリジナルの筐体で稼働しているゲームです。

 …ここまで書くと「じゃあただのDDRのパクリゲーじゃね?」と早とちりする人が多数現れそうですが、ゲームや収録曲の方向性は独自の路線を築いていると言っても過言ではないと思います
 似たような歴史を辿っているEZ2AC然りで海外産のBEMANIライバルゲームは尖った進化を遂げがちな気がしますが、それは置いておいて。
 次項からはそのあたりを詳しく見ていきましょう。




破. SMXのここが凄い!
①踏みゲー初心者に優しい配置
 SMXのパァーノゥパネルの配置は⬅⬇◆⬆➡とDDRとPIUのあいのこのような配置(下図参照)をしており、一見するとDDRよりも複雑そうに見えます。
左から、DDR、PIU、SMXのパァーノゥパネル配置。

 しかし、なんとこのゲーム、一番簡単な難易度であるBEGINNER上下以外の横一列の3つのパネルしか使用せず、尚且つ配置も原則交互で取れるように設計されています
 おかげで踏みゲー初心者でもそこまで戸惑わずに譜面を取ることが可能です。 
 現にこれを書いている筆者が初めて触れた踏みゲーがSMXで、このパネル配置のおかげで「足で操作する」という踏みゲー最大の特徴であり初心者参入の最大の壁である部分に慣れることができたため、この点については地味に大きいと思っています。

 また、その1つ上にあたる難易度のEASYからいよいよ5パネル全部を使用することになりますが、少なくともHARD難易度まではそこまで複雑なリズムも登場せず、尚且つ配置も原則左右交互でそこまで強烈な捻りもなく自然に取ることができます。
 DDRやPIUは低難易度でも捻り連打ごり押しが必要な譜面がたびたびありますからね…。


②奥が深すぎる譜面たち
 ではこのゲームは初心者向けのヌルゲーなのか?
 まったくもってそんなことはありません。そもそもこのゲームの前身にあたる前述のITGやPIU INFINITYの高難易度譜面は当時の(下手したら今の)DDRではまず考えられないような個性的な配置(オブラートに包んだ言い方)だらけの魔窟と化しており、そんなゲームのDNAを継いだSMXの譜面が初心者に優しい譜面だけな筈はなく…。

 5パネルプレイの最高難易度にあたるWILD、DDRのDPにあたる難易度であるDUALFULLがそれで、順に解説していくと、
  • WILD
    基本的に順当な高難易度枠だが、
    ・地雷ノート(踏んだらグルーヴゲージが減る罠ノート)を次々と避けなければならない譜面がある
    ・BPM160台の24分を踏ませる配置がある
    文字押し譜面がある
    人間の足は2本しかないのに3点以上同時踏みを要求してくることがある
    ・次々襲い来る速度変化に耐えながら超高密度で複雑なステップを捌き切る必要がある
  • DUAL
    パネル配置が⬅◆➡⬅◆➡(要はBEGINNER2セット分)という前代未聞すぎる配置なうえ、高難易度帯はその状態で高密度譜面を降らせる。
    結果、スタイリッシュカニ歩きをプレイヤーに要求してくる
  • FULL
    DDRのDPと勝手は同じ…と思いきや、
    ・体重移動を意識して作っているらしい(U1氏談)DDRの最近のDPとは異なり、DDRの初期のDP(つまりかなり尖った配置)に影響を受けたと思しき配置が時折見られる
    左側⬆からの右側⬇、左右の◆同時踏みといったきつめの開脚配置を要求してくる譜面がある
    ・挙句の果てに人間の足だけではどうあがいても取れず、手も使うことまで想定した譜面まで実装されている
…と尖りに尖っており(特に稼働初期の譜面は顕著)、WILDやFULLの最上位譜面は下手したら現行DDRの足19にも匹敵するのではないか(現に最高難易度がつけられているMAX428のWILDはいまだに理論値達成者が出ていない)と思われるくらいの難易度になっています。

 また、これらの譜面以外にも
 ・出典元の文脈をそのまんま持ってきたBeethoven Virus[HARD]
 ・上記の譜面以上にプレイヤーを回らせるXUXA[HARD]
 ・FULL以上にやりたい放題やっているDisconnected Disco[TEAM]
などなど、探せば面白譜面が多数収録されています。そこ、TEAMは難易度自体ネタだろとか言わない。

 初心者に優しく、上級者や癖譜面好きにもうれしいゲーム、それがSMXです。


③譜面Edit機能がある
 DDRからは廃止されてしまった譜面Edit機能ですが、SMXは公式スマホアプリで譜面を作ることができます。
 そのため、「この曲好きだけど難易度が低すぎて物足りない…」とか「公式譜面の配置が解釈違いで萎える」とか「変な譜面を作って友達や家族を怖がらせたい」という場合でも「だったら自分で作ればいい」という解が公式から用意されているわけです。
 おまけに、スマホアプリ上でタッチ操作で手軽に作れるため、人がプレイしている後ろで譜面制作RTAをして次のクレジットで遊ぶ、なんて芸当もやろうと思えば可能です。ノーツはクオンタイズされているため、音ズレの心配もなし!

 そして言うまでもないですが作った譜面はほかのプレイヤーに公開することができます。現に全世界の面白譜面界隈民有志が制作した譜面が多数公開されています。
 いつもとはちょっと違う譜面を遊びたい…という場合はそういった譜面をセットして遊んでみるのもまた面白いです。


④収録曲の幅が広い
 音楽ゲームである以上気になるのが収録曲ですが、このゲーム、収録曲も独自路線を突っ走っています。
 大前提として、このゲームの開発者であるKyle Ward氏が大のDDRファンです。そんな彼がプロデュースしたゲームに入っている版権曲を見てみると…

・DAM DARIRAM - Joga
・HERO - Papaya
・BOOM BOOM DOLLARS - King Kong & D'Jungle Girls
・CARTOON HEROES(Speedy Mix) - Barbie Young
・THE 7 JUMP - Ken-D


なんかどこかで聞いたことのある曲がちらほらいますね。
 ほかにも90年代後期~'00年代初期の、DanceMania黄金期のEuro Dance系がこれでもかとばかりに入っています。
 ただ、これだけで終わっていないのがこのゲームの面白いところで、Monster CatのEDMが最近高頻度で収録されているほか、CelldwellerElectric Callboyといった大物の楽曲がしれっと入っていたり、激しいメタル系が入ったかと思えばK-Popが入り、Drum'n Bossaのようなここ以外の音ゲーじゃまず入らないだろというニッチな選曲までされており、気付けば所謂同人音楽的なノリの音ゲーコア以外の音楽ジャンルの大半は網羅しているのではないか?というレベルのカバー範囲の広い選曲がされていました。因みに音ゲーコア的なのはないですが、音ゲートランスはそこそこ入っています。Gargoyleとか。

 え?洋楽ばかりで馴染みがない?
 某DでおなじみのRunning in the 90sRemember Meに代表されるSUPER EUROBEAT収録曲や、最近はBEMANI各機種でもプレイ可能なUndertaleの楽曲・MEGALOVANIA(※各種音ゲーに入るよりもこちらのほうが先に入っていました)、Beethoven Virus(原曲:悲愴 第三楽章)やMozart Is Back(原曲:トルコ行進曲)、Winter(原曲:V冬 第一楽章)といったクラシックアレンジ、ハードコア系統を少しでもかじったことがある人ならば名前だけでも聞いたことがあるであろうScott BrownS3RLの楽曲も収録されています。
 日本人コンポーザーの曲も収録されていますね。M-ProjectさんやTatsunoshinさんの曲があります。
 そして…


⑤NAOKIの曲が入っている
 2013年にKONAMIを離れて以降多数の音ゲーの楽曲を提供し、同時にゲームプロデューサーとしても活躍している氏ですが、踏みゲーという媒体が少ないこともあり、DDR以外のダンスをモチーフとしたゲームに氏の楽曲が入ることは長らくありませんでした。

 そんなNAOKIの楽曲がSMXには30曲近く入っています。いやもっといるかも。NAOKIファンであればこの点はまず見逃せません。
 SEVEN's CODEの記事に書いた通り、件のゲームでは楽曲の権利が割とコンポーザー側で自由にしていい状態になっていたらしく、SMXにはSEVEN's CODE収録曲がアレンジされて入っています(多分SEVEN以外のNAOKI曲は全部いると思う)。
 中にはタイトルからして直球すぎるBU-44、あのシリーズの系譜を受け継いでいそうなMAX 428、エキゾチックでエスニックなオーラを感じるElectro Asia等DDRプレイヤーからしてみれば「なるほどね」となりそうな文脈の曲まであります。変な汗が出るのは自分だけだろうか?

 ちなみにNAOKIのベストアルバムが秋M3で満を持して頒布されましたが、その収録曲の多くはSMX初出曲です。SMX、及びKyle氏に向けてメッセージを送る、公式大会にゲストとして参加するなど、ご本人にとっても思い入れが大きい機種のようです。

 やはりと言うべきか、NAOKI曲は高難易度曲が多いため、SMXに初めて触る人はそこだけ要注意かも。




急. 推しは推せるうちに推そう
 ここまでSMXの好きなポイントを挙げていきましたが、本記事のタイトルを見て察せられるように、なんとこのゲーム、もうすぐ日本国内で遊べなくなってしまいます
 というのも、このゲームが設置されているゲームセンターは日本国内ではたった1か所、音ゲーマーにとってはもはやおなじみの場所である立川のWGCです。
 2021年ごろから稼働していたようなのですが、プレイヤー人口はあまり多くなく、ここ1年はそこそこの頻度で撤去の可能性が浮上し、そのたびに有志が寄付を行ってどうにか維持をしている…そんな状況が続いていました。
 そしてついに筐体の売却が決定し、来月(2025年11月)の初頭に撤去されることが確定しました。

 正直このゲームから踏みゲーに触れるようになり、下手とはいえDDRやPIUもプレイするようになった身としては非常につらく、また寂しいです。
 ただ、WGCもゲームセンター、つまり事業であり、ここ数年は投資と回収のバランスでかなり苦労をされていると店長のnoteからリアルタイムで状況を知っている以上、これは致し方ないことだと思います。
 筐体は稼働させるのに当然電気代がかかり、尚且つ踏みゲー筐体はデカいため、プレイヤーが少なくインカムが回収できない場合、その赤字幅は察するに余りあります。
 かつて日本各地にあったPIU筐体が今となってはほとんどなく、最近はBPL効果で人気があるとは言え、以前各地のゲーセンでDDRの撤去話がたびたび出ていたのもまあそういうことなんでしょうね。

 少々感傷的になってしまいましたが、一音ゲー好きとしてせめて好きなゲームが遊べなくなる前にそのゲームの魅力は伝えておきたい。そんな気持ちで今回本記事を執筆するに至りました。
 WGCでのSMXの稼働は2025年11月8日(土)まで。本記事でSMXに興味を持たれた方、もしいらっしゃったらそれまでにプレイしに行きましょう。DDRとはまた違った、尖ってこそいれども芯の通った面白さが伝わればこのゲームを楽しんでプレイしていた1ファン冥利に尽きます。

 最後に一言。ベタだけどこれだけは言わせてほしい。
 推しは推せるうちに推そうな。

自分のハマったゲーム(ACに限れば) クロビREV(サ終) グルコス(同上) リフレク(ゾンビ状態) 指(元気ない) ノス(同上) SMX(コンテンツとしては頑張ってるけどWGCから消えそう) 質問あります?

— TaW(Technological audio Works.) (@t-a-w.bsky.social) 2025年10月7日 17:58

(2024/11/05追記)
本記事は2024/9/6~9/8にシルクハット川崎ダイス店にて行われた
第1回ロケテストの内容を基に執筆を行っております。
2024/11/02~11/04の第2回ロケテストの内容は反映されておりませんのでご了承ください。

※注意事項※
前作FUZZ-UPからコンスタントにプレーしているとは言え、
本記事の執筆者のギタドラの腕前は
ギター:緑ネーム、ドラム:青ネーム(言い換えれば「初心者に毛が生えた程度」)です。
そのため、銀金虹ネーム(所謂「ガチ勢」、「上級者」)の方から見ると
違和感のある視点やツッコミどころがある可能性が十二分にありますが、
「最近ギタドラ始めた人はこんなこと思うんだなあ」程度の温度感で
この記事を読んでいただけると幸いです。
この時点で無理!となった方はブラウザバックを強くお勧めします。


以下、本編
↓ ↓ ↓





 どうもこんばんは。TaWでございます。別の場所でも書きましたが、最近は体調を崩しまして見事にダウン中です。原因考えるとただの自業自得なんだよなぁ…。

 さて、つい先日川崎のゲームセンター・シルクハット川崎ダイスにてKONAMIのバンドシミュレーションゲーム・GITADORA(以下ギタドラ)の新筐体(※新作ではなく、新筐体です。大事なことなので二度書きました)のロケーションテストが行われました。当日は関東一円はおろか日本各地…どころかなんと海外のプレイヤーさんまで来るという大盛況ぶりで各60枠ずつの抽選枠に対し待機列は約200人100人超(※後日確認したところ人数規模はそれくらいだった模様。誤報を記載してしまい申し訳ございません)という凄いことになっていたのですが…会場の様子は既にnoteに書いてるので割愛します。

 本記事ではnoteに書ききれなかった(というよりも書くとそれだけでただでさえ長い記事の長さが3倍くらいになりそうだった)新筐体での実プレイの所感の詳細を書き連ねていきます。あくまで最近ギタドラをコンスタントにやるようになった1音ゲー好きの戯言程度の認識で読んでください。
 また、ギター側は時間の関係上プレーができなかったため、以降の所感はドラム側基準と考えていただけると幸いです



①ギタドラ新筐体の特徴

 もう既にXとか各種SNSに写真が上がっているため今更説明するのもアレな気がしますが、ギタドラの新筐体はこんな感じです。

IMG_2035
(ギター側)

IMG_2042
(ドラム側)

 ざっと新しくなっていた点を書き出すと、
  • (ギター・ドラム共通)モニターが大型化
  • (ギター・ドラム共通)スピーカーが新しくなり、音響が強化
    公式の表現を借りると「ライブステージのような音響空間」とのこと。
  • (ギター・ドラム共通)タッチパネル実装。これまで物理ボタン操作(かコントローラー/パッド操作)だった部分がタッチパネル操作に。
    フットパネル操作がオミットされたDDRと違ってコントローラー/パッド操作は新筐体でも健在。
    IMG_2041

  • (ギター・ドラム共通)Live2Dによるキャラクターアニメーション実装。
  • (ギター)コントローラーがマイナーチェンジ。少なくともXG筐体とも白筐体とも違うらしい(ギターについてはプレーできなかったため同行した知り合いが確認した部分以外詳細不明)。
  • (ドラム)パッドが大型化、シンバルのデザインが変更。
たぶん細かい点も含めるとまだまだあると思いますが、おおざっぱに書けば大体こんな感じです。
 
 個人的には後述の長所と短所が文字通り表裏一体になっていると感じました。


②個人的に良かった点
  • 筐体がデカいので迫力がある
 あちこちで言われていますが、今回の筐体はとにかくデカいです
 直近(と言ってももう10年選手クラスですが)のSD筐体や白筐体が小型化・コンパクト化を推し進めていたのに対し、今回の筐体は小型化はどこへやら、大きなメインモニタと縦長のサブモニタ×2、さらにスピーカーも増強されてさながらXG初期のDX筐体のように存在感を増しています。
 個人的にはDX筐体が好きなので、迫力が増した点については好印象でした。
(なんでちょっと含みのある言い方なのかは後述します)

  • "LIVE SOUND"と銘打つだけあって音の迫力も大きい
IMG_2045
 
 新筐体のスピーカーに最適化された"LIVE SOUND"の表記のある楽曲をやってみましたが、成る程、看板に偽りのない大迫力音源でした。うまい表現が見つからないのですが、言うとすれば「全体的に音圧が増し、アタック感が強くなり、低音域は体の芯に響き、高音域はシャリっと鳴っている感じ」です。さすがにリアルのライブ会場の音響とは月と鼈ですが(それはそう)、SD筐体や白筐体に比べるとより迫力のある音響になっていると思います。

  • パッドが大きくなったのでロール処理がやりやすい
 現行に慣れている人たちからはまた違った感想が出そうですが、個人的にうれしかった点。たぶん初心者に向けての改変だと思っています。
 ドラムのシミュレーションである以上、1つのパッドへの交互連打(所謂ロール処理)は必須のテクニックですが、現行の筐体においてタムのロール処理は意識してやらないとなかなか慣れない印象があります(現に筆者はタムロール処理が本格的に必要になってくるレベル6台中~後半の譜面で現在苦戦中)。
 新筐体ではスネア・タムのパッドが大きく、かつ自然な感じで叩きやすい配置になっており、中難易度から自然と交互タム処理に慣れていきやすくなっているように感じました(現行だと単発叩き→スライド処理で無理やり誤魔化す(個人的にワイパーと呼んでる方法)という横着が使えますが、このやり方に慣れてしまうと上位譜面に太刀打ちできなくなるので、できれば中難易度の時点で自然に交互処理できるようになった方がいい)

  • Live2Dの璃音ちゃんがかわいい
 これはもう個人の趣味レベルなので割とどうでもいい話ですが、Live2Dの導入によりリザルトの璃音ちゃんが動くようになりました。
 …が、なんとそれだけでなくプレー中に汎用BGA代わりに楽曲に合わせてギターを弾くアクションを見せてくれたり、その時のプレー状況(コンボの接続やゲージの状態、ミス等)で表情差分が用意されておりかなり芸が細かいです。どこに本気出してるんだギタドラスタッフ…。
 現在は璃音ちゃんのみ実装されていますが、いずれひまわり*パンチの3兄妹の残り2人も実装されるものと思われます。そうだよね…?

 余談ですが、上述の楽曲に合わせてギターを弾くアクション、AIを使用して同期させているのか楽曲のギターパートとちゃんと一致しており、「IMIのわからないもの」と悪名高いIMIの高速オルタ地帯では見事にその速度で速弾きしていて一部でちょっと話題になっていたようです。これは他の高速オルタ曲も気になりますね…。



③個人的に残念だった点
  • モニターがデカ過ぎて譜面の認識が現行と大幅に変わってしまう
 長所が同時に弱点になっている部分その1
 今作のモニターは高解像度で譜面の視認性は一見すると上がりそうだったのですが、このモニター、現行に比べると縦にも横にもかなり大きく、実際に筐体前に座ると譜面を見上げるような形になります
 当然のことながらそうなると現行のプレーオプションはそのまま通じず、椅子の高さといったハード面も併せて微調整が必要になってくるのですが…後述の問題のせいで一筋縄ではいきません。
 少なくとも認識範囲の関係でシャッターは必須だと思いました。
 プレー中に横のタッチパネルでハイスピとシャッターをいじれるので、一応その辺のカバーはされている…と見せかけてこれもまた別の問題に直結しています。

  • スネアとフロアタムが下寄りで椅子を上げにくい
 長所が同時に弱点になっている部分その2
 パッドの大型化と配置調整の影響でスネアとフロアタムが現行よりも下寄りになっているのですが、これの影響で椅子の位置調整がやりにくくなっています。
 前述のとおり、モニターが大きいので視点調整のため椅子を上げたいところでこの配置なので、今度はペダル入力時にスネアとフロアタムに足がぶつかって気になる…という状況になります。
 筐体のコストやメンテを考えると間違いなく無理な話だとは思いますが、スネアとフロアタムの高さを微調整できたらなあ、と思いました。

  • タッチパネルの位置があまりよろしくない
 ギター側ではおそらくあまり気にならないであろう問題点。
 新筐体では大型のメインモニター以外に中型の縦長サイドモニターが左右に取り付けられており、そのうち右側はタッチパネルになっていて、これまで物理ボタン操作だった部分が全てこちらに集約されたのですが、ドラムの場合地味に椅子から離れているせいで立ち上がっていじる必要が出てきます
 現行のボタン(テンキー、方向キーとヘルプボタン)は全て手元の狭い範囲にあるので、座りながら操作を完結できるため少々不親切に感じました。
 え?不精するなって?現時点ではわからないのですが、このまま実装されるとPフリーでのクイックリトライ機能(*1)に影響しそうなのでスキルを頑張りたい身としては割と大きいんですよこれ。他にもギタドラドン(*2)みたいなイベントをこの方式でやられると回答時間を事実上減らされるので…。
 ただ、後述の点でタッチパネルが離れているのは決して不利な点ばかりでないというのが難しいところです。

  • 壊れやすそうな部分が多い
 ドラムはその演奏形態の都合上部品の破損が発生しやすく(実際のドラムも特にスネアやハイハットの消耗が激しく管理が大変らしい)、ゲーセンによってはその影響で修理に時間がかかっているところも結構あると聞きます。
 …で、今回の新筐体ですが、本物感を意識したのかシンバル系にプラスチックのパーツが付くようになっていました。
 見た目的には嫌いではないのですが、スティックの誤打で割れる未来しか見えないです…。案の定ロケテでは慣れない環境ゆえかシンバルを外してプラスチック部分に誤打するプレイヤーが少なからずおり、見ていてヒヤヒヤしました。見た目以上に頑丈らしくロケテ時は全くビクともしていなかったのが幸いですが…。
 また、プレイヤー間で多かった意見として、「タッチパネルを誤打して割りそう」というのがありました。ただ、こちらについてはタッチパネルである右モニターは案外本体と離れており、よほど激しい打ち方をしなければ誤打する心配は薄いかな、と思いました。デイドリのシンバルビームを前にしたらまだわからないですけど…。
 少なくとも現行よりも壊れやすそうな部分が増えているのは事実です。

  • 左モニターの存在意義に疑問符
 長所が同時に弱点(?)になっている部分その3
 確かにLive2Dの璃音ちゃんがよくできているのは事実なんですけど、悪く言ってしまうと現状の使い道が本当にそれだけです。せっかくモニターを3枚用意しているので、もうちょっと有効活用できないかなと思いました。例えばムービーの表示位置の候補の1つにするとか、達成率やスコアの表示位置にするとか…。

  • (ギター側)ギターコントローラーが1本しかついてない
 ギター側は未プレーなので詳細な感想は実際にやった人に譲りますが、本体を見た感想として「あれだけ本体が大きいのになぜギターコントローラーが1本だけなんだ…。」とかなり違和感を覚えました。
 コンパクト化を突き詰めた白筐体からXG時代は1筐体につき2本ついていたギターコントローラーが1本だけになっているのですが、コンパクトゆえに2台並べて置ける(実際公式もギター2台+ドラムのセッションプレーを想定している)白筐体と異なり、今回の新筐体は何度も繰り返しますがとにかくデカいため、並べて置くだけのスペースがあるゲーセンは恐らくそんなにないと思います。DDRやDANCERUSHを複数台置けるようなところじゃないと到底無理…というかこれと引き換えにダンスラがお役御免になりそうで怖いのですが、それはさておき。ここまで本体が大きいのだし、そこまで大きくないSD筐体でもできたギター2人セッションができないのはだいぶもったいないです。
 公式はどうか何故ひまわり*パンチが3人なのか思い出してあげて…。

 因みに、この意見が来るのは公式としては想定済みだったらしく、アンケートに「ギターコン2本目欲しいですか(要約)」という項目がありました。ちょっと苦笑い。

  • そもそも筐体デザインがあまり好きでない
 ここまでくるともうただの個人の好みなので「それってあなたの好みですよね?」と言われたら全く言い返せないのですが…。
 ライブ会場で使われている実際の大型スピーカーやドラムセットを意識したようないかにもロックバンド!という風貌のDX筐体やそれを小型化したSD筐体と異なり、今回の筐体はコンパクトさを意識したあくまでゲーム寄りの進化を前提に考えられているであろう白筐体をベースに大型化したようなデザインになっているせいで、悪い意味でゲームっぽさが出てしまっている感があります。コンパクト筐体をそのまま大型化するのは本末転倒な気が…。
少々表現がきついので反転→言葉をあえて選ばずに言うとあのデザインは正直ダサいと思います。
 余談ですが、デザイン面についてはプレイヤー側全体としても賛否両論だったようで、誰が言ったか「三面鏡」やら「仏壇」やら一部では言われてしまっているようです。わからんでもない。

 これも余談ですが、ギター側・ドラム側ともに操作デバイスを取り外した本体部分の構造は実は一緒なのでは?とロケテに同行した知り合いが言っていました。よく見ると確かにそうですね。筐体生産におけるコスト削減の工夫なのでしょうか…?
 ただ、過去のDX筐体がデカ過ぎてあまり導入が進まず、結果小型化したSD筐体、さらにコンパクトになった白筐体が開発されたと言われているため、ここにきて大型化したところで新規導入するゲーセンはどれくらいあるのだろう?と少々心配にはなるところです。弐寺やDDRのように新筐体限定の曲とかを入れたら状況が変わるのかもしれませんが…プレイヤーの反発は間違いなく招きそうですけど。



 ここまでを纏めると、「迫力を前面に出しており、同時にチャレンジングな点も多々あるが、全体的に調整はかなり大味なので今後のブラッシュアップ次第で色々変わってくると思う」という感じの印象に落ち着きます。
 所感としてはこんな感じです。すでにロケテから1週間経ってるので今更こんなレポ書かれてもおせーよ!!と突っ込まれても全くぐうの音も出ないのですが、一応個人的に思ったことは書いておきたいなと思いこの記事を書くに至りました。暇つぶしにもなれば幸いです。

 あ、勿論ここに書いたような内容は全部公式のアンケートにも漏れなく書いておきました。アンケート書けたのが昨日なので無事届いてるかどうか怪しいですけど…。まあリンク生きてるし受付終了日書いてなかったし大丈夫と信じましょう。
 
気になった点は然るべき手段で(ここめちゃくちゃ重要)公式にも意見を表明しておきましょう。








*1 プレミアムフリーモード(ちょっと割高の筐体時間貸しモード)限定の機能として、プレー中の楽曲をコマンド入力で最初からやり直せるという機能が今作から登場しました。因みにコマンドはヘルプボタン+▶️キー。
*2 楽曲解禁イベント「超聴力!ギタドラドン♪」及び「超視力!ギタドラドン⦿⦿」のこと。早い話がイントロクイズとジャケット当てクイズ。現状ヘルプボタンから出題と進捗状況を確認できる。

 皆さんこんばんは。なんか気づいたら流れで仕事が納まってたTaWでございます。今年も年末は恒例のRTA in Japanを見ながらのんびり過ごしております。走者の悲鳴からしか得られない栄養があります

 さて、今年もなんだかんだであと1日ちょいということで、昨年に引き続き1年間に作ったBMSの振り返りをしていこうと思います。でも のこっているよ(個別制作後記) 冗談抜きに今年は個別の制作後記1本も書けてないんですよね…遅れてもいいから書かねば…
 今年制作したBMSは7本(厳密にはもう1本作ってますが公開は来年。続報を待て!!)。例年10本ペースで作れているのでちょっと少ないです。まあアルバムとか作ってたし、無名戦とかにも出なかったから多少は致し方なし。

Metallic Blue (BMS Edit.)(from BMSをたくさん作るぜ'23)


 4月のM3で頒布したアルバムから先行公開。あくまで「アルバムからの移植」なので「BMS曲」としての扱いではありません(アルバムの特設サイトでもこの曲は新曲扱い)。AC音ゲーとかでもアーティストがアルバム出した記念に1~2曲くらいアルバムから曲が入るやつが以前ありましたが、あれのイメージです。
 …この数か月後、Zrisさんによるイベント『Let's BMS Edit !』が行われたので、そちらで出した方がよかったかもしれません。ただ、楽曲・譜面ともに手を抜かずに、何よりも楽しく作れたので後悔はありません。
 

blue ray(自主制作)


 MUMEI Academyが終わってちょっと経った頃に公開したイベント外BMS。因みにその頃界隈は新進気鋭のBMS作家・メスガキに分からせられたい氏主催のイベント『メスガキにわからせられるBMS』で盛り上がっていました。メスガキに分からせられなかった男
 ちょうどMAでHYPERTRANCEが流行っており、作風的にかなり好みだったことから自分でも作ってみたいと思って自己流の解釈も加えて実際に作ってみたらいつものTaWトランスになりました。結果的にですがMetallic Blueの弟分みたいな感じの扱いに(自分の中では)なってます。この手のエナジェティック成分のある音ゲートランス、今後も作っていきたいですねえ…。


Nebul@ (from Another B.J.Cup #03:CYBER)
 

 もはや隠す気がないとさえ言われた偽名・Darknoid名義2作目。前作はNeo 80'sな感じのエレクトロ成分が強めでしたが、今作はサイバーパンクで殺伐としたディストピアチックな近未来を強くイメージした、重厚なベースミュージック成分強めの作風で勝負しました。毎度毎度お世話になっている古氷さんによる世界観の解像度が高すぎるBGAも必見です。
 正直なところ小規模なイベントゆえにうまく立ち回れば優勝も夢ではないこと、それでいつつもB.J.Cupという伝統的な由緒正しいイベントのシリーズなので中途半端な作品は出せないこと、以上二点を念頭に「絶対優勝してやる」という強い思いで制作した作品です。結果は3位と微妙でしたが…。やはり音ゲーコアには勝てんのか…。
 因みに、そう遠くないうちにこの曲周りの続報があるかもしれません。要チェック!


dilaton(from heavysick ZEROでBMSやる会5)
 自身初となるリアルイベント公開のBMS。後にpupulyにて配布を開始しました。
 予てからチャレンジしたいと思いながらなかなかチャレンジできていなかったジャンルであるTECH DANCEに挑戦した作品です。テックダンスというジャンルがかなり拡張性の高いジャンルゆえに最初はなかなか「これだ!」という感じがつかめずに苦戦しましたが、なんとか自分なりの解釈を見つけてアウトプットに成功しました。まあイベントでのお披露目は散々だったんですけどね…。


RiZiNG ATTACK(from BOF:NT THE BMS OF FIGHTERS : NT -Twinkle Dream Traveler-)
 

 毎年お馴染みBOF。今年は「攻撃性」をテーマとしたチームで出場、TaWは雷属性担当でした。因みにFS枠のくるやのぶさんと属性がかぶっちゃったのは内緒。
 TECH DANCEと同じく予てから作りたいと思っていたジャンルであるFREEFORMに挑戦、作り慣れていなかったジャンルであることもあり、かなり制作に時間がかかっています。あと言うまでもないですが音切りがめちゃくちゃ難しかったです…。定義数が足りない…。
 大好評だったBGAはMUSH.Tさんに作っていただきました。また、譜面のうちBLACK ANOTHERとINSANEはここ数年お世話になりっぱなしなLennonさんに作っていただきました。因みにこちら2つの譜面をもってLennonさんは譜面作家を引退されるとのこと。未プレイの方で腕に自信のある方はぜひやってみてください。

 Nebul@とRiZiNG ATTACKについては後日個別記事を書く予定です。細かい裏話や反省等はそちらで触れようと思っているので、もう少々お待ちください…。


ピンポンダッシュ(from BOFOON:NT -Twinkle FOON Traveler-)
 やめようね!!


techno-pain(from BMSをたくさん作るぜ'24)
 つい昨日公開したての新作。当初は全然別の作品で出る予定だったのですが、色々と複雑な事情が発生し出すに出せなくなり、急遽こちらを制作しました。多分かなり粗が目立っている気がしていて自分でも合格ラインに達しているとは言い切れず不本意な点も残っていますが、「相当無理して作ったんだろうな〜」とか思いながら寛大な心でプレイしていただけたら幸いです。あと制作期間ギリギリでキラーパス飛ばすのは正直やめてほしい…。


 来年はBMSイベントが例年以上に目白押しで多忙を極めそうですが、どうにか死なない程度に頑張っていきたいです。あと何より制作自体を楽しんでいきたいですね。ドス黒い気分で作品作っても碌なことにならないんで…。
 あと偽名とかコピーとか含めて制作したBMSの総数が50作を突破したみたいです。こちらも記念に何かやりたいですね。

 というわけで皆さま、良いお年を!

 皆様ご機嫌いかがでしょうか。TaWでございます。GWも後半戦に突入したようですが、私は実質今日から休み開始です。積みゲー消化しつつ曲も作らねば…。

 さて、先日開催された音系同人即売会「M3」にて、自身初のCDを出させていただきました。
 爆死しないか正直なところかなり不安でしたが、当日は多くの方がブースに立ち寄ってCDを手に取ってくれました。
 TaWのブースに来ていただいた皆様本当にありがとうございました!!

 本記事では、今回の新譜『TECHNO-LOGIC』の裏話や各トラックの制作秘話等を書かせていただきます。お時間のある方は少々お付き合いくださいませ。





序. CDを出そうと思った理由

 話は昨年の春M3に遡ります。昨年の春M3で知り合いのBMS作家であるotoshi.bさんとNASAさんがアルバムを出しており、知り合いの間でアルバムを作る機運が高まっていたこと、そして2022年でTaWとしてインターネット上で本格的に活動を開始してから5年という節目になるということで何かしらデカめのことをやりたいと思っていたことから「今度は自分がCDを作る番なのでは?」と思い、その場のノリと勢いもあってTwitterで「アルバムを出します!」と宣言し、その結果後に引けなくなりました。

 
 そしてその後、昨年夏あたりになって本格的にアルバムを出すことを考え始め、秋M3前後にはもう構成を練ったりリミックス担当者を募ったりと徐々に動き始めました。
 アルバムコンセプトとして、自身の根幹となり自他ともに認める強みとしているジャンルであるTechnoを中心に置き、「サイバー、近未来、技術」というテーマで大まかな構成を決め、そこに少しずつ肉付けする形で制作を進めていきました。
 また、初のCDなので今後の信頼のためにも新譜は絶対に落としたくない!という強い思いがあったため、締切は早めに設定しました。結果的にそのおかげでBた作に出場できるだけの余裕ができたわけですが、代償として本来入る予定だった楽曲が2曲ほど犠牲になりました。ただ、片方についてはすでにリベンジとして来年の春M3に向けた予定を考えています。続報をお待ちください…。
 そうして間に多数の困難が(主にリアルの仕事的な意味で)あったものの、なんとか締切には間に合い、4月の頭には業者からCDが到着し、あとは当日を待つばかり…となるはずでしたが、予想以上に必要な小物類が多く、4月の上旬はその関係で結構バタバタしていました。サークル布?ポスター?何それ美味しいの?状態だったので…。
 さらに、当日直前になり、会場に事前搬入手続を行ったCDが集荷場に着いたのが搬入受付開始前日であることが判明し当日会場に着いているかどうか一気に雲行きが怪しくなったり、そもそも当日の天気が雨で手持ち搬入分の荷物の持ち運びの難易度が上がる可能性があったりとけっこうヒヤヒヤする出来事が続きました。当日朝会場で自分の荷物が無事到着しているのを見た瞬間が、ある意味一番安心した時かもしれません…。因みに当日の動きについてはnoteの方に詳しく書いてあるので、そっちが気になる方は併せてお読みください。

 さて、ここからは新譜収録曲について語っていきます。新譜をご購入いただいた方はお手持ちのCDを聴きながらこの先をお読みいただけるともっと楽しめるかもしれません。そこ、勿体ぶりすぎとか言わない。





#01. TECHNO-LOGIC (extended mix)

 アルバムタイトル曲にして自身の代表曲(だと思う)。この曲は絶対に入れないと全方位から殴られるだろうなと思ったので真っ先に収録が確定しました。アルバムのテーマの軸になっている楽曲でもあります。
 言うまでもなく一番力を入れました。中途半端なロング化では裏で期待外れとか言われそうだし、何より自分がめちゃくちゃ後悔すると思ったため、ショート版の流れを殺さずに、ロング版を聴いてしっかりと印象に残るように慎重に編曲を行いました。実際、完成率7割くらいのところで「この展開は余裕で予想できそうだし無理やりとってつけたような感が随所に出てて陳腐に感じるな」と思って、いったん没にして再度構成を練り直しています。その結果製作期間は1ヶ月半くらいに及びました。
 イメージしたのはサイバー空間を自由に駆け巡っている印象、そしてテクノという音楽ジャンルを聴くうえで付随する没入感のようなもので、言うなれば最先端技術の「正」の側面のようなものをイメージしています。
 音楽的な部分において念頭に置いたことは、ゲームミュージックとしてのテクノ、という自身の中心にある作風の1つを維持しつつ、ゲームではなく音楽CDの音源として「聴ける」もの、クラブミュージックとしてのテクノの要素をどう融合させるか、という点でした。今回はBMS化を行わないので派手なエフェクトも思う存分使えるため、フェイザーやローパスフィルターをいつも以上に活用し、テクノの持つグルーヴ感がより際立つようにアレンジを行っています。まあこの曲はBMS版の時点で結構その辺のエフェクトも入れてるわけですが。
 また、せっかくアレンジし直すなら…ということで半分くらいのシンセの音源をリニューアルしました。具体的にはNexusからSpireの音源に変えてます。やっぱりリード音源はこっちの方が良い音が出る気がしたので…。とは言いつつも私はNexus大好き人間なので今後も使い倒していくと思います。
 かなり手をかけたので、個人的には新譜の中で一番満足する出来になったと感じています。

リファレンス(反転)→ Be quiet - Ryu☆


#02. LONELY CIRCUIT

 書き下ろし曲その1。たぶん広義でいえばこれもTechnoに当たるのかもしれませんが、設定ジャンルはElectroです。
 BMS作家の性ゆえ、最近は大体2分尺くらいで曲を作るのが基本なのですが、今回の新譜の書き下ろし曲は一般的な楽曲の長さ(3~5分くらい)を想定して作曲したため、逆にそれでやれることの幅が広がった気もします。
 タイトルを見て「孤独な回路って何?」と思った方がいるかもしれませんが、タイトルの由来は単純、「論理回路」と「個人サークル(≒孤独なサークル)」をかけてそれっぽくしただけです。要はダジャレです。実は個人サークルを立ち上げる際にこの名前にしようか迷ったのですが、やっぱり自分の名義で統一したほうが分かりやすいだろうと思って今のサークル名に落ち着きました。
 テーマとしては電子回路の基盤の映像なんかに合いそうなBGMみたいなイメージで作っています。それ以上の深いテーマはありません。ぶっちゃけて言うとタイトルネタをやりたかったというのが7割5分くらいを占めています。

リファレンス(反転)→Sidechained Threats - sanodg
           仮想空間の旅人たち - DJ MURASAME


#03. baryon VIP
 
 G2R2018出場曲のセルフリミックス。
 もともとbaryon自体はいつかロング化したいと思っていたのですが、今回のアルバムのテーマと楽曲の持つテーマ・方向性がイマイチかみ合わなかったため、当初の予定では今回の収録予定曲に入っていませんでした。
 ただ、後述するsyuurokuさんのリミックスを依頼するにあたり、さすがにこちらも原曲からの派生作品1つくらい作らないと(諸事情でplazmonのロングは入れないと決めていたため)格好がつかないかな、と思い、結構ギリギリで収録を決めました。
 リミックスの方向性も制作過程で二転三転しており、ミドルテンポのテクノにしようと思っていたらsyuurokuさんのリミックスと見事に方向性がかぶってしまうため没にし、原曲通りのSchranz要素をより強くしようとしたら楽曲の方向性がアルバムテーマと解離してしまって今一つしっくりこなくなったためこれも没に、最終的に原曲より少しテンポを落としたテックダンス風のリミックスになる…予定でしたができたのはテックダンスとは似ても似つかない何かでした。テックダンスはまたどこかでリベンジしたいです…。
 アレンジにおいて原曲の疾走感は失わせないようにエフェクトや音のベロシティに気を遣い、タイトでスピード感のある音作りを意識しました。また、原曲の時点でジャンルの方向性上エフェクトが強めにかかっていましたが、繰り返し型の楽曲のため要所要所にメリハリを出すため、原曲のものとは別にハイハットループにフィルターの抜き差しが増えています。逆に、原曲にあったブレイク前のサイレン系のSFXやディストーション強めのパーカッション、ブレイク時のスパソリードはオミットし、あくまで音ゲーでプレイするよりも「聴く」寄りのリミックスにしました。
 原曲の方のロング版はまた別の機会にやりたいと思っています。 

リファレンス(反転)→Golden Cross (extended remix) - REMO-CON vs dj TAKA


#04. Metallic Blue

  
書き下ろし曲その2。テクノを謳うアルバムで4曲目にしてトランスに走る。そんなことがあってもいいじゃない。人間だもの(?)。
 コンセプト自体はアルバム企画段階であったのですが、曲に着手したのは書き下ろし曲中一番最後でした。当初の時点ではBPMが160あり、もっと疾走感のあるトランスポップ的なのを想定していたのですが、作ってみるとコレジャナイ感が否めなかったため試しにテンポを落としてみたら自分が思ったイメージに当てはまり、そこから先は流れるように筆が進み2日くらいで全体が出来上がりました。
 敢えて音ゲー的な方面からの脱却を図った3曲目とは異なり、こちらは初めからBMSにすることを想定して展開を作りました。トランスにしては音や展開が多く尺が短めなのはそのためです。実際、アルバム作業がひと段落した時点で多少余裕が生まれたため、Bた作で尺を調整したバージョンをBMS化しましたただBMS化想定の割にはオートメーションとかアルペジエータの使用が多く、音切りに手間取ったのはナイショ。
 テーマとしては「'90s〜'00s あたりのちょっと懐かしいトランス、そしてその頃の人が想像した近未来」。「ちょっと懐かしい感じの未来感」という表現、矛盾しているようにも思えますが自分はこの手の表現・作風(例を挙げるとYMOの『テクノポリス』とかact deftの『quick master』とか。レトロフューチャーとでも言うのでしょうか、でもそう言うとしたら時代が下り過ぎてるような…どう表現するのが正解なんだろう?)がかなり好きで、過去作でもその手の雰囲気が入ってるのがかなりあります。単に昨今のトレンドにあるような音作りをTaWが苦手としてるのも関係してるのかもしれませんが。また、その手の楽曲のジャケットイメージやMVって結構青色が使われている印象(偏見ともいう)が自分の中であり、タイトルはそのイメージでつけました。

リファレンス(反転)→Thor - XeoN(展開面)
           THE SUN - Tatsh(展開面)
           quick master - act deft(音作り)



#05. Protest System

 書き下ろし曲その3。予告で挙げていた「TECHNO-LOGICの流れをくむ新曲」の正体。
 ぶっちゃけタイトル含め一番難産な曲でした。仮タイトルの変遷が「TECHNO-SPEED→DATA STREAM→PROTECT SYSTEM→Protest System」と一貫していないところからもそれが伺えます。
 TECHNO-LOGICの流れをくむ新曲は絶対にアルバムに入れる、ということをアルバム企画段階で決めてはいたのですが、どういった方向性にするのか、曲調はどうするか、速さはどうするか…といったことの考慮があまりにも不足していたため、いざ作るとなりイントロのドラムシーケンスと「Activate...」の声ネタを入れたところでものの見事に行き詰りました。確かこの曲が行き詰ってる間にbaryon VIPとMetallic Blueは完成しています。その後、テーマと方向性をしっかりと明確にし、曲の構成を練り直して音を抜き差しすること幾十回、ようやく形になったと思ったら最後の最後でサビのメインリードがしっくりこなかったためミキシング直前になってリードの音を差し替えるなど、最後の最後まで難産でした。ただ、ミキシングは全曲中でもかなり早く終わった記憶があります。
 テーマとしては「技術革新の進み過ぎた代償」。AIが学習を進めた結果人類の出す命令の矛盾に気づき、やがて反抗する…みたいな分不相応の技術を手に入れてしまってその結果技術に振り回される皮肉、言うなれば最先端技術の「負」の側面をイメージしています。さらに言い換えれば「裏TECHNO-LOGIC」みたいな感じです。ただ、ここまで書いたテーマについては細かなテーマを突き詰めた結果生まれた副産物的な感じで後付けに近いので、当初はここまで考えてません。
 難産であり部分部分納得できないまま完成に持っていった点もないわけではありませんが、最終的な形は自分でも結構気に入っています。
 あと、先に宣言しておきますがこの曲は今後もBMS化しません。ゲーム尺を想定していないのと単純に音切りが死ぬほど面倒なことになりそうなので。

リファレンス(反転)→CODE:1 - HEXA
            CODE:2 - HEXA
            Awake,Speedy - DJ MURASAME



#06. R.M.P.

 去年の春M3のOX-Project様の会場焼きコンピに提出した楽曲のリメイク。これも当初は入れる予定がありませんでしたが納期の関係で追加で作る予定だった新曲が間に合わなくなったため、急遽収録が決定しました。
 当初は原曲をちょっといじった程度で収録する予定でしたが、手を加えれば加えるほど原曲の粗(制作期間わずか半日!)が目立ってきて、最終的にほぼ全体レベルで作り直しました。
 もともとこの曲の原曲自体「水没したiPodへのレクイエム(M3前々日に愛用していたiPod nanoが不慮の事故で水没してしまったので)」みたいなテーマで作った曲だったのですが、作り直すにあたって「前の曲も技術の負の側面みたいなテーマだし、コンセプト的にこれもダークなテーマでいった方が一貫性があるな」と思い、「水没し壊れゆく機械が見た最後の走馬灯」みたいなイメージのアレンジになりました。最後に心電図みたいな音とノイズが入っているのはそれのメタファーです。
 ジャンルがChill Outになっていますが、改めて聴くとChill Technoみたいな創作ジャンルを設定してしまっても良かったんじゃないかと思いました。
 この曲とsyuurokuさんのbaryonリミックスが所謂落ち着き枠です。GdbGで言うとDisc3枠です。例えの意味が分からない人は各自ググってください。

リファレンス(反転)→Find You - DJ MURASAME


#07. baryon(syuuroku remix)

 リミックス枠その1。syuurokuさんは無名戦15の同期に当たる人なのですが、当時作っていたジャンルの方向性から意気投合し、合作を作ったりBOFでチームを組んだりと親しくさせていただいていて、今回はそのご縁でリミックスを依頼する運びになりました。
 baryonのリミックスを依頼するにあたり、原曲が激しいハードテクノなのとTaWが書くテクノが音ゲー曲やゲームのBGMに影響を受けた方向性のため、敢えて狭義のテクノ寄りの硬派で落ち着いた曲調をオーダーしました。
 syuurokuさん曰く「ハードテクノに対するソフトなテクノ」とのことで、原曲とは真逆の雰囲気が味わえるリミックスとなっています。


#08. Plazmon -Electro Euro Shock Remix-

 リミックス枠その2。Edvard. Sさんは無名戦とM3つながりで知ったのですが、昨年ひょんなことからBOFでチームをご一緒させていただき、今回その流れでリミックスを依頼させていただきました。改めて思うとEZ2AC楽曲提供者にリミックス依頼できたのヤバいな…。
 こちらのリミックスについては特にオーダーを投げず、テクノとそのサブジャンルで!とだけ伝えて自由に作っていただいたところ疾走感抜群なハイパーテクノに生まれ変わって帰ってきました。原曲のBGAにビル街を縫うハイウェイを走り抜ける場面があるため、イメージ的にも合っていて私としてもこちらも気に入っています。

 因みに原曲のロング版はMUMEI Academy 2021のコンピレーションアルバムに入っているのと楽曲の制作者が少々ややこしいことになっている(SP音源TaW制作→DPA音源Yosk!さん制作→コンピ版音源はその2つを合わせ再構成したもの)ため、今回のCDには入れてません。


#09. Digital Attack (Album mix)

 ボーナストラック枠。MuseDashの公募に出したもののM3前日に落選が判明した曲です。
 原曲の制作期間はわずか20時間くらいなのですが、自分としても予想以上に満足のいく出来となったのでせっかくだからCDにも入れよう!ということで収録しました。
 原曲との違いはサビ後半のリード音が変わっているのと最後にアウトロが追加されているところです。要はマイナーチェンジ版です。ロング化するには時間が足りなかったのだ…。
 ちゃんとしたロング版はまたいつか別の機会にリベンジしたいと思っています。
 因みにこの曲の前身みたいな存在にTeknical Attackという楽曲があって、当初はこちらを入れることを考えていたのですが、何分原曲が2016年ごろに作られた代物の上、当時の自分も出来に納得がいかなかったらしくプロジェクトファイルごと存在が抹消されていて、残っていたのが前半30秒ほどのデモ音源だけだったのでリメイクを諦めました。


 書くことが多すぎて朝9:00ごろこの記事を書き始めてここまで書き終わったのが日付が変わった午前0:30でした…。
 取り敢えずここまで書いたことについては知らなければ曲を楽しめないというほどでもないので、まあ脳内の片隅にでも置いといてください。
 ここまでお付き合いいただいた皆様ありがとうございました。


 さて、今回出させていただいた新譜ですが、BOOTHでの委託頒布も開始しました
 本記事執筆時点ではまだ入荷待ちになっていますが、おそらく遅くとも5/10くらいには購入可能になると思います。こちらもよろしくお願いいたします~!!




 というわけで夜も更けてきたので、今日はもう寝ます(Goz-Mez)。

 皆様いかがお過ごしでしょうか。TaWでございます。世間はシルバーウィークだというのに、私は仕事を入れられたため会社に対し強烈な憤りを覚えております。在宅ワークできるからまあ多少はマシだけどさぁ…。
 さて、昨日(2022/09/18)まで、q/stolさん主催のBMSイベント「BMSかん字ドリル 2年生」が開催されました。小学校の特定の学年で習う漢字のみ使用したタイトルのBMSを作る、という主旨のこのイベント、実に6年ぶりの開催なのですが(小学校1年生が卒業するくらいの時間が経っていたらしい)、今回はタイトルの文字数制限が撤廃されたこと、使える漢字が大幅に増えたことによる影響か、タイトルかぶりも起きず、BOF直前にもかかわらずバラエティ豊かな作品が多数登録され、大いに盛り上がった印象です。
 そして例によって私も本イベントに参加していたため、いつもならイベント作品の裏話(という名の言い訳)記事を執筆するところなのですが、本記事の主題はそれではありません。諸事情で裏話記事の公開はBOF閉幕後辺りになります。もうちょっと待ってててね かん字ドリル閉幕前の4日間、私は別の企画を動かしていました。
 それがこちらです。

偽名ダービー
フォーム跡地

 そう、BMS界隈では不定期開催されることでお馴染み偽名作家の正体を当てよう!というやつです。
 毎度毎度BMSイベントではサプライズ目的や新たな作風に挑戦する目的などで変則的な名義で参戦する人、所謂偽名作家が現れますが、その正体を予想するのもまたBMSイベントの醍醐味だと私は思います。バレバレな人からぱっと見分からない人まで色々いますからね。
 ということで非公式ながら勝手に開催させていただいた本企画ですが、最終的に私含め5名の参加者が名乗りを上げ、偽名作家3人(厳密には4人いましたが、諸事情で1人はオミット)に挑みました。


☆参戦者紹介(敬称略)☆
①TaW
 言うまでもない、本ブログ管理人及び本記事執筆者。すべての元凶。
当たってるといいな

②Grimfearia
 BMSプレイヤーサイドから参戦。近年のイベントでは積極的にインプレッション執筆を行っており、BOFシリーズでは全インプレを成し遂げたこともある凄い人。
初参戦です、頑張ります!

③りょくちゃくん
 かん字ドリル参戦者の1人。直近に行われたBMSイベント「Blessed Magic Story」で見事優勝を達成した近年力を着実に伸ばしているBMS作家。
すみません。自信はないのですが参加者わずかと聞き、偽名ダービー好きな私としては少しでも応援したく参加させていただきたかった。よろしくお願いします

④かなたす
 BMS作家としてのメイン名義はKanata.S。かなりのベテラン作家のため、カバー範囲の広さは参加者中最大の可能性あり。
ヶッ

⑤Mowl
 今年から本格的に活動を開始したBMS作家。彼もまたイベントでのインプレ執筆を精力的に行っている。
誰だよ(ピネガキ)


 そうしてインプレ期間が終了し、偽名作家の正体が公開されたわけですが、果たして的中率トップは誰の手に…?
 気になる結果はこれだ!!!

偽名ダービー2




…オイどうすんだよこの空気。


 ということで、最終結果は参加者全員の(暫定)的中率が一致するというネタとしてもガチバトルとしても反応に困る結果に終わりました。
 参加者の皆様、ご参加ありがとうございました。まずはこの場を借りてお礼申し上げます。


 ここからは偽名を考察した根拠、及び偽名ダービーそのものへの反省点について書き連ねていきます。
結果だけ見たかった方はここでブラウザバック推奨です。


    1. 偽名予想の解説
     私が各偽名作家を予想した経緯はこんな感じです。

    ・ もときの (No.06)
     (予想)メスガキに分からせられたい
     (正体)メスガキに分からせられたい 的中!
     全体的に所謂「萌え系」の声ネタが多用されており、電波ソングやナードコア的テイストが多かったことからその方面に強いこだわりを持っている(オブラートに包んだ表現)人と考え、またインプレ期間前に猫缶サーバー氏がファイルの命名則等について細かな指摘を行っていたこと、シーケンスが3連符基準(音ゲー用語でいう「12分・24分」)ではなく付点32分で疑似的に3連符を表現しようとしていたことから比較的新しめの人と予想、以上の二点を併せ持つ作家さんとして先日のMUMEI Academy 2022 CLASS Aにてデビューしたメスガキに分からせられたいさんを予想しました。同時に、今回は偽名リストでは扱いませんでしたがBGI担当者もメスガキに分からせられたいさん本人だと予想していました。
     私は作品の特徴から推測を行ったのですが、実はこの作品、Google Driveの詳細を開くことで簡単に正体にたどり着くことができたそうです。第三回衆院選のtc-takaさんパターンですね。これを読んでいる方で今後偽名に挑戦される方、いらっしゃったらここは要注意ポイントかも…?

    ・ 芳乃さくら (No.17)
     (予想)YAN*TS
     (正体)うまるつふり
     ゲーム『D.C.』のヒロインを名乗る偽名作家。この手の偽名(ゲームやアニメをコンセプトとしたBMSを作り、それのキャラクター(高確率でヒロイン)名義で作品を発表する)は長らくBMS界隈に存在する文化であるため、割とそういった部分(BMSのアングラ的側面)を知っている人、そして元ネタのゲームのBGMのアレンジっぽかった(生憎筆者は初代D.C.については登場人物名をいくらか知ってる程度で本編については未履修でございます…)ということでコピーBMS方面中心の人、作品のアップローダーで安全性に難のある印象のAxfcを使っているためその点でもアングラ寄りの人、以上の三点で(割と悩んだ末に)YAN*TSさんという結論を出しました。氏はかつて某ノベルゲームの主題歌とデス地獄をマッシュアップするという怪作を作っており、それのイメージに引っ張られたのは少々あるかもです…。
     因みに上記のとおりダービー参加者の中では正体的中率が0%だったのですが、本ダービーに参加しなかった人で正体に迫れていた人が1人確認できているため、観察眼が鋭い人は分かったのかもしれません。知らんけど。

    ・道済儚 (No.32)
     (予想)AYhaz
     (正体)マジか
     いやマジで誰やねん。
     本ダービー最大の問題児。正体が公開されても本名義が公開されないという偽名当て泣かせパターンでした…。
     因みに正体の候補はいくつかあったのですが、そのうちKeiuOさん(ヴォーカルの方とTwitterでつながりがあった)とMowlさん(作風に似たところあり)はインプレをしているため除外、ヴォーカルの方のTwitterから正体の手掛かりを探るも特段大きなヒントは得られず…ということで絞り込みがかなり難航しました。ヴォーカルの方の自演名義も考えましたがBMS制作がこれが初めてだとするにしてはミックスや(配置に難はあれども意図的に妙な配置にしているような印象を受けた)譜面の作りが明らかに素人のそれではなかったためやはり経験者と予想、A-1 10thに登場した『不安神経症』という作品と作風やどこかひねくれた感じの譜面の作りが似ており、ヴォーカルの方が海外の方のため海外勢でコネが広く、日本語を解しておりそれでいて独特なセンスを持つ人、ということでAYhazさんを予想しました。
     ※ここから先は未確定情報を含むため反転→結果的に正体に迫ることはできませんでしたが、最終日夜に第三回衆院選の偽名ダービー主催を務めた空読無 白眼さんと話をする機会があり、明確にではないですが遠回しに「それ」っぽい話が出たため正体がAYhazさんである可能性はかなり高いのではないかと睨んでいたりします。真相は如何に…。


    2. ダービーの反省点
     というわけで自分の予想の振り返りを書いてきましたが、ここからはダービーそのものについて書いていきます。
     当初、私は偽名ダービーはあくまで個人的に行い、イベントという形では実施しないつもりでした(またそのパターンか)。ただ、何となく興味本位で「偽名ダービーやったら人くるのかな?」と思ったためTwitterのアンケート機能を使用し、ちょっと反応を見てみることにしました。アンケートを打った直後ではやる派とやらない派が拮抗しており、反応も薄かったため「あーこれはお流れになるな まあ1人で勝手に予想一覧でも書いて悦に浸るか…」とか思いながら仕事帰りにTwitterを見たらこうなっていました。

    偽名ダービー3
    ???
     まあ最大7人、あと様子見で飛び入り参加が1~2人いると考えて大体6人くらい来ると考えればそれなりに盛り上がるし需要もあるのだろうと踏み、急遽Googleフォームを用意し告知を行い、ダービー開催を決定しました。
     しかし、実際のところ最終日夜になるまで回答者が殆ど現れず、参加者コメントを見てわかるように一部は同情票での参加をしていただいた(本当に頭が下がります…)という状態だったため、アンケート結果と現実はやっぱり乖離があるなあ…というのが実際にやってみての第一印象となります。あと、やはり偽名の枠が少ないと的中率の差が生じにくく、その面でもイベントとして盛り上げる難易度は高かったなと思います。もっと言えば偽名の中身を公開しないスタンスの人がいる可能性も視野に入れるべきでしたね。実際最終日に某氏にそのことを指摘されましたし。
     取り敢えずこちら側の落ち度については、
    ①そもそもイベント化するだけの数字がそろっていないことに気づくべきだった
    ②Twitterのアンケートは信頼性がないものと思った方がいい

    この2つが大きいです。
     ただ、これだけは言わせてください。
    投票したんなら参加しろとまでは言わんからせめてRT拡散するくらいの協力はして!!!
    あとイベントとして需要無いんならはっきりそっちに入れて!!!



     最後が締まらない感じになってしまいましたが、改めてかん字ドリル参加者の皆様お疲れさまでした。そしてダービー参加者の皆様、ご参加ありがとうございました。少しでも楽しんでいただけていたら主催者冥利に尽きます。

     さて、次に控えるイベントはBOF:ETですね。なんでも過去最大規模の参加者数だとか…。また、大物古参作家が久しぶりの参戦表明をしていたり、例年お馴染みのメンツが例にもれず高クオリティなプレビュー動画を上げていたり、商業方面から意外な人物が参戦予定だったりと今回も大激戦が予想されます。また、今回から導入された新ルール「FINAL STRIKER」で開幕時点ではどのチームも全貌が分からない、という点でも最後までわからない戦いになりそうです。
     果たして優勝は誰の手に…?

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