Technological audio Works. 情報局

BMS制作時の裏話とか載せるブログ。

2022年06月

※本記事は完全に1音ゲーオタクのただの私感です。真剣に受け止めないことをおすすめします。

 どうも、TaWでございます。今回はいつもとはちょっと違った記事を書きます。基本的に当ブログはBMSイベント時に自作品の裏話を語ったり、好きな作品を紹介したりする目的で動かしてるのですが、たまにはこういうのもいいよね?
 念のため断っておきますが、本記事を読んでいて不快さを感じた場合は即ブラウザバックをおすすめします。それでもいいという方はこの先をお読みください。


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 上半期が終わるからかどうかは不明ですが、昨今音ゲー界隈はやたらと新鮮な話題が尽きません。
 例を挙げると…
  • BEMANI機種全般:久しぶりのリアルイベントであるBENANI SYMPHONY CONCERT 2022が開催、そこで発表された新曲が各機種で猛威を振るう
  • DDR:大幅アップデートで超高難易度譜面が追加、版権曲がまさかのボス枠と化す
  • jubeat:このタイミングで新作発表、譜面コンテスト開催
  • 太鼓の達人:楽曲公募開催
  • オンゲキ:やたらと解禁が重い&条件が厳しいボス曲が立て続けに登場、最後まで進めると筐体上で意味深なスタッフロールが流れる
  • WACCA:オンラインサービス終了が発表、同時にサントラの告知
  • Arcaea:メインストーリー最終チャプターの予告がされる
…とまあ良いニュースも悲しいニュースも立て続けにあったわけですが、そんな中サービス終了が発表されてもそこまで大きな話題にならなかった音ゲーがありました。これらの出来事のちょっと前なのでインパクトの関係で話題を持って行かれた可能性はあるかもしれないけど。今回はその音ゲー、『SEVEN's CODE(以下セブンスコード)』について、一応発表から定期更新終了まで追ってきた1ユーザー目線で色々書き連ねていきたいと思います。


①本題に入る前に
 このゲームを語るにおいて欠かせない存在がプロデューサーのNAOKI MAEDA氏、そしてNAOKI氏のプロデュースの前作にあたるゲームである『CROSS × BEATS(以下クロビ)』です。セブンスコードについて語る前にまずはクロビについて軽く触れたいと思います。
 クロビは"INNOVATION"をキャッチコピーに、音ゲー界のデファクトスタンダード(NAOKI氏談)を目指して展開されたゲームで、当時買い切り式(例:Cytus、ToneSphere(どちらもそれに加えDLCあり))か基本無料+楽曲パック購入(例:jubeat plus(当時)、Arcaea(後発だけど))が主流だったアプリ音ゲー界において所謂ソーシャルゲーム要素(要はスタミナやガチャ)を組み込んだ音ゲーとして色んな意味で話題になりました。
 曲の入手方法が定期的に行われる対人イベントややたらと確率の低いガチャ、スタミナ回復が重い(≒やり込みには課金アイテムであるプレミアムチケットの使用が前提)…等ソシャゲであることを考慮しても多数の問題点があったのは言うまでもないのですが、一方で収録されている曲のジャンルが幅広い(当時音ゲー界は音ゲーコア一強みたいな状況だった記憶)、BEMANI初期を支えた古参アーティストの新曲が遊べる、後に大きく出世することとなるアーティストを発掘した(米津玄師、ゲスの極み乙女、パスピエ、BABYMETAL等)、覚えゲー要素が多少あるものの試行回数を積み攻略する楽しさがある音ゲー部分など光る点も多々あり、後にアーケードの音ゲー戦国時代に加わる形でアーケード版が登場、最終的にはどちらもオンラインサービス終了(アプリの方はもうそもそも遊べない)という結果にはなってしまったものの、今でもなお根強いファンがいるゲームとなっています。かくいう筆者もその1人ですし。最近はRP(プレイヤーの腕前を示す指標)の計算式が判明したことからRTAとしての競技性が生まれ、筐体を所持している一部のプレイヤーの間で更新合戦が行われているとかいないとか。

 そうしてクロビのオンラインサービスが終了したのが2018年。その後、NAOKI氏プロデュースの新作音ゲーの話が耳に入ってきて気長に待とうかな…とか思っているうちに(開発中の時期にNAOKI氏が『新作音ゲー作るからクリエイターのみんな力を貸してくれ!』みたいなツイートをして知り合いが多数アピール合戦に参戦するという一幕があったりしました)事前登録が開始され、「単なる音ゲーでは終わらせないつもりらしい」、「キャラクターデザインや世界観を重視しているらしい」みたいな情報が断片的に公開され、音ゲー部分については謎だらけのまま(後にちゃんと情報は出ましたが)配信当日を迎えました。
 当然自分はクロビを楽しんでいた口ですし、コンポーザーとしてのNAOKI氏のファンでもあり、何だかんだでNAOKI氏にリベンジしてもらいたいと思っていたのもあって事前登録を滑り込みで行い、配信当日内容を楽しみにアプリを立ち上げました。
 そしてストーリーの第一話、チュートリアルのバトルが始まろうとしたその時…

 ズシュゥゥゥゥゥゥン(※バトル突入時の音)\プッ/

 (何事もなかったかのように広がるホーム画面)

 俺「…(無言でアプリを消す)」

iPad mini 3ではまともに遊べませんでしたとさ。 
 そして筆者が不慮の事故でiPadを最新機種に買い替えるまでの間、 セブンスコードは購入済みアプリ一覧に埋もれることになるのであった…。


②プレイした私感
 さて、ここからはセブンスコードのゲーム部分の内容について触れていこうと思います。大まかに説明するとこんなゲームでした。
  • 買い切り型(+有料楽曲等の課金要素あり)
  • 純粋な音ゲーではなく、ストーリーの合間に「バトル」の演出として音ゲーパートが入る(※音ゲー単体で遊べるモードもある)
  • キャラゲー要素あり
  • アーティスト陣、キャラクターを演じる声優の顔ぶれが豪華
  •  謎解き要素あり
…もうこの時点で人によっては嫌な予感がしているかもしれませんが、クロビを生み出したNAOKI氏の拘りが良い意味でも悪い意味でも溢れており、初心者のとっつきやすさという点ではかなりクセが強いゲームだったと思います。所々なんでこんな方面に進化したの?って部分があるし…。案の定クロビほどではないもののAppStoreの評価は割れ、レビューは荒れ気味でした。まあAppStoreのレビュー欄の治安はどのアプリでも基本的にあまり良くないんですけどね…。

<個人的に良かった点>
  •  楽曲のクオリティが高く、ジャンルも幅広い
 前作に引き続きというか、音楽面への拘りが強いNAOKI氏のプロデュースだけあって楽曲は高クオリティのものが多いです。また、ジャンルも幅広く、メインテーマ的側面のある『キミと見た夢』、前半のOP映像(なんとアニメよろしく各チャプターにOPとEDがありました)で使用されている『SEVEN 〜漆戒〜』、アイドルソング系ユーロビート『TRUE CODE』といった王道J-POP色の強いものから所謂音ゲーボス曲的側面の強い『Ceyx』、クラシカルな『The Queen』、後日裏ボスとして君臨した『Header'S' Judgement』等のいかにも音ゲー曲している曲、さらにはトリッキーなリズムの『Ничто』や『swallow SMOKE』、実験音楽的な要素の強い『La Paresse』等の他の音ゲーではそうそう聞かない異質な曲も入っており、楽曲面については非常に光る部分があったと思います。オリジナル曲以外でもクラシックのアレンジがやたらと充実していたり、『conflict』や『PUPA』等のBMS曲、『INSPION』や『BRAIN POWER』といった他の音ゲーでも見かける曲も収録していたりととっつきやすくする工夫がされており、参戦したアーティストもプロデューサーのNAOKI氏やサウンドディレクターのCranky氏をはじめ、Tatsh氏やxi氏、sasakure.UK氏といった大物音ゲーコンポーザー、(若干被る人もいますが)ルゼ氏やsiqlo氏といったBMS作家、Iris氏やFrums氏、dendy crew氏といった海外アーティスト、果てはよみぃ氏やゆゆうた氏といったYouTuberと最後のはともかくとしてかなり豪華でした。
 因みに最後の2人が担当しているのはよりにもよってボス曲、しかも普通に格好いいです。少なくとも私は曲としては好きです。
 
  • 楽曲の入手方法は課金か目標達成
 これはクロビとの比較になってしまうのですが、新規楽曲の大半の入手機会が限定的かつ高難易度で、それを逃したら超低確率のガチャ(※天井なし)に賭けるしかなくなっていた前作とは対照的に、セブンスコードでは楽曲の入手には運が絡まず(1曲運がらみの曲がありましたが、後日確実な方法で解禁できるようになりました)、ミッションを達成する、課金要素としてちゃんと単曲or楽曲パック分のお金を払う等すれば入手できました。
 やっぱり音ゲーはこの形式が合っていると思います。
え?比較対象がおかしいって?クロビで200回ランセレ祭回して何も出ないという地獄を経験したら誰だって楽曲を確実な方法で入手できるという点だけでも神ゲーと認識すると思うよ?

  • 隠し要素が充実
 セブンスコードではコード入力という一種の隠し要素があり、作中のストーリーで登場するキーワードを入力するとその設定解説を閲覧できたりおまけのアイテムが貰えたり(普通に課金アイテムとかも貰えたので無課金勢にとっては割と重要)したのですが、これが相当数あり、中にはコード入力で楽曲が解禁できるものもあったため、色々探してみる楽しみがありました。実際隠しコードを含めると一覧画面で確認できるものの倍近く存在したとか…。隠しコードの中には前作をやって人ならニヤリとするもの、音ゲーの専門用語、中には「なんでそんなの入れたの?」と言いたくなるようなメタネタ、内輪ネタまであったそうです。
 他にもストーリーモードの各チャプターのEDにコードが隠されており(隠し方も毎回異なっており非常に初見難易度が高かった回もあった)、それらを合わせると隠しメッセージになる(+アイテムも貰える)ということがあってDiscordの非公式鯖が賑わったり、定期更新終了後の4月1日に突然コード入力を使用した謎解きゲームが配信されたりと最後まで話題が尽きませんでした。
 蛇足なので反転→余談ですが、この機能、AppStoreの規約(シリアルコードとかが禁止されたやつ)に触れないのか少々心配なところがありました。 クロビのランセレ祭もガチャの確率明記が必須になった後だろうとお構いなしに確率が謎に包まれていたし、NAOKIはAppStore規約チキンレースチャレンジでもしてるのだろうか…。
  • 公式がほぼ全楽曲のゲーム尺の試聴を公開している
 公式がYouTube等で楽曲試聴を公開するのはコロナ禍以降割と普通になりましたが、版権曲を含めたほぼ全曲(具体的にはコンパスコラボの4曲以外の全曲)の公式試聴を公開してるのは相当珍しいです…。
  ゲームによっては公式音源化もなされないままサービス終了を迎えてしまう場合もあるため、この点はアーケード・アプリ問わず結構重要なのではないかと私は思います。


<個人的に好みが分かれそうだと思った点>
  • ストーリーが難解気味
 ストーリーを簡潔に説明すると、「仮想現実のテーマパークに突如として閉じ込められた主人公がさまざまな人物のアバターを転々としながら裏で渦巻く陰謀に立ち向かう」。一応大まかな設定自体は割と王道であるものの、主人公が掴みどころのない性格(公式曰く“透明な主人公”)だったり、主人公の上司がとんでもないヤンデレだったり、第二の主人公というようなポジションのキャラクターが男の娘だったり、黒幕が子供っぽさに憧れているサイコパスだったり…とライターは各種属性の闇鍋でもしたかったのか?と思いたくなるくらい癖だらけで、その上でストーリーの表面上の時間軸が進んだり戻ったりする、専門用語が大量に出る(これはコード入力で詳細を見れるのでその手のものが好きな人にとっては寧ろプラス要素かもしれませんが)等の難解要素が加わってくるため、一回通しプレイしただけではよくわからない点が大量に出ると思います。実際筆者もあの結末については理解が追いついていない…。
 セブンスコードについてはストーリー面について相当力を入れていたようなので、その熱意が先走ってしまった結果なのかもしれませんが、個人的には分かりづらさが先行するように感じました。
 
  • キャラゲー要素
 上述の通りセブンスコードの登場キャラクターは揃いも揃って癖だらけなのですが、彼らはストーリーモードのキャラというだけでなく、音ゲーパートで使用する自キャラとしての側面もあります。ありがたいことに本作にはガチャがないため課金や各種アイテムの使用で永久的に解放できるのですが、レベルの概念が存在し、なんとソシャゲよろしくレベル上げには特定のアイテムが必要です。途中で実装されたサイドストーリーの存在により単なる作業感は少し減りましたが、そのレベル上げがかなり重く、CHUNITHMやArcaeaのように楽曲プレイで上げられるわけでもないため人によっては苦痛度がかなり高いと思います。じゃあ別にレベル上げせず楽しめばいいんじゃね?という人もいるかもしれませんが、後述するスキルの関係でレベルを上げないと高スコアが取りにくいため、高スコアを目指すならレベル上げが必須になります。あとネット対戦を有利に進めるなら尚更です(ミッションに対戦でX回勝利するみたいなのがある)。
 各キャラとも癖はあれどそれぞれ独自の魅力はあるし、サイドストーリーでそれぞれの内面や過去が深掘りされるため一概に悪とも言い難いのですが、純粋に音ゲーを楽しむ上で個人的にはとっかかりになっていた感はあります。 
 
  • 公式の悪ふざけ
 とあるチャプターでプロデューサーのNAOKI氏がまさかの声優デビューを果たす、エイプリルフールに広報担当の方がヴォーカルデビューする(※後にちゃんとした曲でヴォーカルとして正式参加)、妙に登場人物全員のテンションがおかしいチャプターがある、先述の隠しコードの一部等、妙な形で公式が暴走するという光景が時々見られました。基本的に本編のストーリーがシリアス&難解で音ゲーパートも割とガチ寄りな作りの中で公式のこのノリなので、重苦しい本編(実際一部のチャプターは立て続けに主要人物が死亡するので結構きつい)の中でちょっとした清涼剤になっている面がある一方で、流石に内輪ネタを盛りすぎでは?という気も少々しました。
 ただNAOKI氏の古巣のBEMANIシリーズは一時期スタッフが芸人と呼ばれるほど(良くも悪くも)悪ふざけをぶっ込んでいたことがあるため、その影響も多少はある…のかもしれません。知らんけど。


<個人的にイマイチだった点>
  • スキルシステム
 個人的に本作最大の不満要素。ここまで上げた良い点を完全にひっくり返しかねないと思っています。
 セブンスコードでは音ゲーパートの内容が能力バトルの様子を表しているらしいため、バトルの決め手、要は「切り札」として各キャラが持つ固有の能力、言わばスキルを使用するのですが、このスキル、音ゲー部分の得点に影響します。 そのため、高得点倍率のスキルを持つキャラでタイミング良くスキルを発動しないとこのゲームは理論値が取れません。
 前作は音ゲー部分の作りについてかなりストイックだったので、これについてはなんでこんな仕様にしたの…と思ってしまいました。
 一応達成率(AR)という点で音ゲーとしての絶対的な達成度は測れるため、そこだけ見てやり込むのも手ですが、それだとスコアの存在意義とは一体…となってしまいますし…。
 あと、ストーリーモードのイベント戦でも相手は容赦なくスキルを使ってきます(というか本編のボス戦は後半が完全にスキルからの耐久ゲー)。スキルの中にはノーツの着地点がぶれて見える、画面が大きく歪む、画面が大きく傾いて視界が悪くなる、画面が回転するといった凶悪なものも多い上、ここまで例に上げたスキルをチャプターボスは実際に使ってきます。これのせいでストーリーモードの難易度MASTERで詰んだ人も多いのではないでしょうか。
 因みにスキルなしでストイックに楽しみたい人用のキャラ(スキルを持たない)もちゃんと用意されています。よりにもよって有料キャラですが。こういうのって普通無料で最初期に実装しておくべきでは…?
 
  • 対人戦のゲームバランス
 ↑の本質的な部分。本編で猛威を振るった凶悪スキルの大半(確かパルス(拍動)とアドレナ(副腎)以外は実装されてた記憶)は当該キャラを持っているならフリープレイ中にも使用でき、当然対人戦でも使用できます。これが何を意味するかお分かりですね?
 結果、対人戦は視認性を悪化させて相手のミスを誘うスキルが圧倒的に有利になってしまいました。せめてそこはナーフしろよ…。その後、スキルゲージを強制的に0に戻すスキルが登場したためこれらのスキルが絶対的有利、というわけでもなくなった…と言いたいのですが、当のスキル(キドニー)の得点倍率がめちゃくちゃ低いため結局そこまで対抗策にもならなかったような印象でした。
 そもそも音ゲーの対人戦って普通は地力勝負ですよね?スキルで相手の邪魔をして足の引っ張り合いをする音ゲー対戦って何なのよ…。
 因みに後日スキル禁止の対戦部屋ができたため、あくまで地力勝負に拘りたい人はスキル不使用で対戦できるようになりました。この点は良かったと思います。 
 
  • カオスモードのやりにくさ
 恐らくクロビ難民がいちばん楽しみにしていたであろう機能。ただ、そのゲーム性は悪い意味で似て非なるものでした。
 セブンスコードの音ゲーパートは「シンプル」と「カオス」の2つの譜面モードがあり、それぞれスコアも別々に記録され、曲によってはそれぞれ全然別の方向性の譜面が用意されていたりするのですが、このカオスモードが事前情報のスクリーンショットではクロビの譜面レイアウトと瓜二つだったため、「新作でもクロビライクな譜面ができるぞ!」と一部の人たちの間で話題になっていました。
 しかしこのカオスモード、その実態は「ガイドラインを消して矢印をめちゃくちゃ細くしたクロビと判定バーを消したCytusを足して割ったもの」でした(一応私の認識なので例えが伝わりにくかったらすみません)。要するに初見だと捌きにくい上にタイミングが意味不明。さらに言えばクロビにはなかったスライドノートが加わったことにより複雑さが増しました。
 大人の事情でクロビに似せたくても似せきれなかったのはわかりますが、中途半端に再現されたせいでかえって印象が悪くなってる気がします…。
 ただ、このカオスモード、先述の画面の視認性を悪くするタイプのスキルとは相性が良く(判定タイミング自体は変化しないので画面が傾いたり回転したりしてもシンプルモードほど実害がない)、意外な使い道があるとも言えなくもないかもしれません。そもそも視認性悪いのでスコアが伸ばしにくいのはナイショ
 
  • チャレンジモード周りのあれこれ
 本編であるチャプターまで到達すると「チャレンジモード」(他機種で言うコースモード、段位認定)というモードが解禁され、プレミアムチケットチャレンジチケットというアイテムを使用することでプレイできるようになります。最初の方はかなり易しい難易度中心である程度腕前がある人にとっては作業感が出てしまうのですが、途中から牙を剥き始めます。
 まずこのモード、この手のモードを導入している音ゲーは数あれど恐らく弐寺のEX段位レベルでゲージの減りが早いです(8連続くらいミスを出すだけでゲームオーバーになることもあるらしい)。また、2番目に良い判定(CRITICAL)未満でもゲージは減少し、トリルや縦連でハマるとその時点でゲームオーバーがほぼ確定します。
 これだけなら超ストイックな段位認定で済んだ(かもしれない)のですが、そこはセブンスコード、更なる伏兵を用意していました。
 1つは第4の難易度であるCHALLENGE譜面。このモードでしかプレイできない特別な譜面です。お陰で通常プレイではレベル7〜9であまりパッとしなかったポジションの曲が軒並み強化され、ボス曲としてプレイヤーに逆襲を仕掛けてきました。そして当該コースを突破すれば晴れて通常モードでプレイ…できるようになるはずもなく、あくまでこのモードでしか遊べない譜面という扱いです。正直なところ割と面白い譜面もあったので、弐寺の†みたいに正式に第4の難易度化して通常プレイでも選べるようにして欲しかった…。
 そしてさらに、上位コースではなんと対戦相手CPUがスキルを撃ってきます。そしてそのスキルには当然のように視認性悪化タイプも含まれています。無理ゲーでは?せめてコースモードくらいは地力一本で勝負させてほしい…。


③まとめ
 …とまあ良かった点悪かった点あげてきましたが、全体的な印象としては、「やりたいことが多すぎた結果全方位に中途半端になり、その結果妙に突き出た癖の強い点が悪目立ちしてしまった」。これに尽きるような気がします。 
 細かな1つ1つの点を見ると曲は良いし、ゲーム性として良い感じのものもあるし、 ストーリーも癖はあれど魅力的な部分もあるのですが、集合体として集まった結果複数の要素が不調和を起こして楽しさを損なってしまっていた点が多々あり、そういった意味でかなり勿体無い点が散見されたゲームだったと思います。せめて全部一度に実現しようとせず、何回かにプロジェクトを分けていれば…。

 ここまで色々言いたい放題書いてきましたが、このいろいろな要素を搭載した、一口にただの音ゲーと言い切れないゲームを丸1年間全力で回してきたスタッフの方々は相当苦労されたと思います。中にはなんの音沙汰もなく運営が雲隠れしてしまうゲームもある中で、最後まで音ゲーとして楽しめるように盛り上げ、楽曲の試聴についてサービス終了後も引き続き残すと明言しているところには間違いなくコンテンツ愛を感じます。その点本作はかなり恵まれていたと思います。
 スタッフの皆様、運営お疲れ様でした。そしてありがとうございました。

 さて、セブンスコードは終焉を迎えてしまうわけですが、なんとこのゲーム、楽曲の権利が割と自由度の高い状態だったらしく、なんだかんだで他の音ゲーでも楽曲が遊べたりします。
 例を挙げると、
・REDRAVE(CHUNITHM)
・サンカヨウ(Lanota)
・MAX 428(StepManiaX)
  最後のは国内で遊べるのが筐体個人所有者を除くとWGCのみですが、楽曲を試聴して興味を持った方、環境があれば遊んでみるのはいかがでしょうか。


 昨年CHUNITHMにサプライズ収録されたTatsh氏とNAOKI氏の合作『BLUE ZONE』の歌詞にはこんなフレーズがあります。
"Revolution,
 Evolution,
 Innovation,
 ...To the next stage..."

 果たしてNAOKI氏の次なるステージは…?
個人的にはもう妙に奇を衒ったことはやらなくていいから、純粋に音楽性にこだわり抜いた音ゲーを作ってくれ…と言いたいです。ここまで氏を追ってきた1ファンとして。

 最後に。
『op13 -type zero- (Zpinkpong Remix)』の原曲ってどこで聴けますか…? 

 皆様お久しぶりです。TaWでございます。つい先日某ゲーセンのイベントでStepManiaXをプレイするついでの流れで初めてDDRをプレイして、あまりの楽しさに調子に乗って連続8プレイとかした結果翌日見事に筋肉痛が発動して死にかけました。常日頃運動してないお前が悪い
 さて、BMS界隈のフォロワーの方なら既にご存知だとは思いますが、現在BMSイベント「MUMEI Academy 2022(以下MA・MA2022)」が開催されています。BMS制作初心者や今一つイベントで結果を出せていない人(※どちらも自称)を対象としたイベントですが、今回もかなり個性的な作品が出そろい、激しい戦いが展開されております。そして例によって某ファストフード店のキャラのパチモノや某音MAD構文の使い手等妙にキャラの立つインプレイヤーが降臨して場を沸かせたりしてますが、まあそれはそれとして。イベント期間はちょうど折り返しですが、昨年イベント終了目前で急激に票を伸ばし大逆転勝利を収めた作品もありますし、まだまだ結果は分かりません。果たしてこれからどうなるのか…。
 そして、例によって今年もMAで個人的にお勧めしたい作品の紹介を本記事ではしていきたいと思います。例年はそもそも私自身が参加者サイドで多忙だったり、記事の半分くらいを埋めるネタとして自作品の制作過程とかイベントの結果を踏まえた反省点語りを書いている関係で、イベントが終了し結果発表が行われた後に記事を書いているため、その弊害として「今更おすすめされても遅ーよw」と仮に突っ込まれても言い返せなかったわけですが、今年は胸を張って期間中に記事を公開できます。やったぜ。
 69(失格含めれば70)作品もあってどこからやればいいかわからない…という方は参考にしていただけると幸いです。でも時間に余裕があるならNo.01から全部やりましょう



<CLASS A : 無名戦エコノミー部門>

thrown out / anco
 作者のTwitterアイコンが通り過ぎるループが延々と続く…というシュールなBGAが印象に残る作品。しかし、作品としての作りは決してネタではなくむしろガチで、ジャンル通り'00年代のトランスシーンを彷彿とさせる硬派で没入感のあるトランスとなっています。またトランスというジャンルは一見すると作りやすそうで、でも実は独特のグルーヴ感を演出するのが初心者DTMerにとっては大きな壁になるのですが(※私感)、この作品はその点もしっかり表現されています。この作りこみはDTM・BMS制作ともに経験が浅い層を対象としているCLASS Aとしては規格外レベル。譜面もクオリティが高く、今後の活躍に期待がかかります。

Damage / KN-5
 CLASS Aどころか昨今のBMS界隈自体でも比較的珍しいINDUSTRIALでMAに挑んだ意欲作。メロディではなくビートで攻めるジャンルのため、逆に言えばメロディでの誤魔化しが効かず、ミックスや音の使い方のセンスが問われるジャンルですが、まさにジャンルを体現するかの如く重厚なビートと機械的な電子音が組み合わさり、このジャンル独特の力強さと無機質感を演出しています。また、譜面もこの手のジャンルのセオリーに違わずNormal判定という芸の細かさ。ANOTHER譜面はかなりの高難易度になっているため、腕前に自信のある方はチャレンジしてみましょう。

d2 / Y.

 毎年恒例の「これ絶対CLASS Aのクオリティじゃない」枠。初BMSでハード音源を使用するというレベルが高すぎる過程を経て生み出され、その上でBMS上のミキシングも自然という一体なぜCLASS Aにいるのか不思議になる作品。因みにタイトルの『d2』は制作に使用した2つのハードシンセに由来しているとのことです。楽曲面としては非常に渋いテクノとなっており、クラブVJ感を醸し出すBGAも相まってdopeな音に浸れます。譜面の難易度は全体的に少々高めなのですが、演奏感抜群の譜面のため腕に自信のある方はぜひやってみましょう。
 余談ですが、今年はCLASS A・Bともに'90~'00年代のテクノやトランスに影響を受けているであろう作品が多く発表されています。この手の方向性が好きな筆者としてはかなり嬉しい展開なのですが、一体なぜ…?昨今は世間で20年くらい前に流行ったものが再評価されてひそかに再ブームを起こす、という流れが時折見られますが、BMS界にもその傾向が現れつつあるのでしょうか。



<CLASS B : 無名戦ビジネス部門>

夢厭 con eleganza / 大前司
 MA2022開幕とともに会場を驚愕させた作品の1つ。作者の大前司さんはBOFXVIIに続いて2度目のBMSイベント参加となりますが、MAでのクオリティとしては規格外レベルの作品を引っ提げて参戦してきました。「悪夢」をテーマとした混沌としつつもどこか夢心地のような曲調が特徴的で、楽曲の構成要素もオーケストラを基本としつつTrapやBreakbeatsのテイストも加わった良い意味で混沌としたものとなっています。そしてBGAは無名戦17の優勝曲昨年のCLASS A優勝曲を思わせるようなカオスかつシュールな内容となっており、まさしく「悪夢」そのもの。さらに譜面もワープ、見かけ逆走等のギミックが仕込まれており、作品全方面でそのテーマを表現している徹底ぶり。貴方はこの夢から脱出することはできるか…?

深く暗い海の底へ / freesia
 一昨年のBMSをたくさん作るぜ'20でデビュー後、小~中規模イベントを中心に低難易度にフォーカスを当てたBMSを発表し続けているfreesiaさんですが、今回も低難易度メインの作品で参戦。ダイビングをテーマとし、浅い海からだんだんと深海へと潜っていく様子を追っていくような曲調、展開とともに徐々に落ちていくBPM…と今回もその表現力は冴えわたっています。譜面は低難易度ながらも演奏感に主眼が置かれた配置になっており、初心者の方にも上級者の方にもおすすめです。また、例によって24keys譜面が同梱されているため、環境がある方はチャレンジしてみましょう。

Azure Rays / SKY.
 個人的に今回のMAで特に印象的だった作品。ド直球のUK Hardcoreなのですが、陳腐さを一切感じさせず、音ゲーマーなら間違いなく唸るであろう展開が詰め込まれています。そして同時に「音ゲー曲としてのHardcore(所謂音ゲーコア)」だけでなく、「クラブミュージックとしてのHardcore」的なアプローチもしっかりされており、両方の側面において"聴ける"作品だと思います。さらになんとBGAも自作とのことで、青を基調とした疾走感抜群のこちらも楽曲のテーマと120%シンクロしています。譜面も良い意味でド直球となっており、「王道がなぜ王道たりえるのか」という事実を再確認させてくれる作品だと思います。音ゲーハードコアが嫌いな音ゲーオタクはなんだかんだ言っていないと思う。

StarLightning!! / atily
 Lime氏やkooridori氏等、BMS界にはキラキラした楽曲を手掛ける作家が一勢力として存在しますが、そのDNAを感じる作品。架空の魔法少女をテーマとしており、ストーリー性のある展開や文字通りキラキラした音づかい、勇壮で前向きな印象を受けるサビのメロディにそれがよく表れています。作者のatilyさんはキラキラしたPop系を得意としているとのことで、今後この方面で名を上げていくのか期待がかかります。
 簡易的ながらBGAもついており、そちらも自作とのこと。今年のMA、つよいマルチクリエイター多すぎませんか?

Next Star! / LLRK feat. AIきりたん
 昨年MAよりデビューしたLLRKさんがBOFXVIIBた作'22で経験を積みMAに帰ってきました。これまではエレクトロポップ系中心に作品を発表されてきた氏ですが、今回は歌もののHappy Hardcoreで参戦。明るく疾走感のある音ゲーハピコアのエッセンスが現れている作品です。また、これまでの作品に違わずBGAも自作(むしろこちら側での活動の方がメインのようです)で、曲の明るさ、可愛らしさをより引き立たせています。因みに(おそらく)氏の過去作のBGAに登場したキャラクターがほぼ全員出ているため、過去作をプレイしている人はより楽しめるかも…?

Moment / Kazki Misora
 一昨年の無名戦17にて『鏡花水月の宵』を発表し、そのクオリティの高さで一躍話題に上ったKazki Misora(旧名義:/指紋)さんが名義を新たにMAに参戦してきました。Artcore要素が強かった前作から一転、今回は硬派なGlitch系ベースミュージック…かと思ったら途中でサイケになり、加速とともにサビに突入しキャッチーなHardcoreになり、最後にまた硬派な路線に戻る、という展開が目まぐるしく変わるジャンルメガ盛り定食のような作品です。こういったアプローチも音ゲーならではですね。
 この手のジャンルのお約束で、譜面は高難易度寄り。腕前に自信のある人はぜひチャレンジしてみましょう。

Xiba / Heartnaut
 今回のマルチクリエイター枠筆頭格。作者のXibaさんは過去に無名戦16への出場経験があり、その時も手描きフルアニメーションのBGAで会場を沸かせていたのですが、今回も曲、BGA、譜面を全て1人で手掛けているとのこと。特にストーリー性があるBGAは必見です。登録時BGAサイズがギガ単位になっていたのはご愛敬。
 譜面は低~中難易度寄り。低難易度譜面で穏やかな楽曲とともにBGAの世界観を味わってみるのもいいかもしれません。



<CLASS C : A-1部門>

戦 -IKUSA- / motz
 BMS黎明期にコピーBMSを制作していた経験を持ち、2019年以降から活動を再開されているmotzさんが一昨年、昨年に引き続きMAに参戦しました。登録番号1番を勝ち取った作品ですが、長い戦いの始まりを告げるかのような厳かなオーケストラで、その曲調は大河ドラマのオープニングを思わせます。
 余談ですが、続くNo.02No.03もクオリティが化け物じみていたため、「今年のMAは凄いことになるぞ…」と名実ともにMAの激しい戦いを予感させる作品になっているような気がします。

Distant World / ohon
 昨年のMAでデビューしてその高いクオリティでCLASS B準優勝を達成し、最近は春M3でU-hey Setaさん率いるトランスレーベルのコンピレーションに参加するなどBMS内外問わず幅広い分野で活躍をしているohonさんが今年はCLASS Cで参戦。サイケ色が前面に出ていた昨年とは異なり、今回は宇宙をテーマとした高揚感のあるProgressive Tranceで、氏らしいサイケ要素を出しつつもまた新たな表情を見せています。譜面はTotal値が少し低めに設定されているうえ所謂「ラス殺し」が存在するため、初見プレイ時は要注意。
 因みに宇宙というテーマに至った理由は「Tranceと言えば宇宙というイメージにつながったから(要約)」とのこと。Tranceの制作を経験したことがある方なら共感できるかもしれません。少なくとも私はそう思いました。

Chase the Light / F.Wynnd
 無名戦15から毎年継続的に無名戦・MAへの参戦を続けているF.Wynndさんが今年もMAに参戦。途中でBOFXVII参戦もはさんだためか、今回は以前に比べ音のキレがレベルアップしており、無名とは言わせないという強い意志を感じます。楽曲は本家のNAOKI氏やTAG氏を思わせる疾走感のあるSpeedRaveで、細かな16分フレーズが展開する良い意味で音ゲーへの「映え」が意識されています。やっぱり音ゲーと疾走感という感覚は切っても切り離せないんだよなあ…。

<header> / 潮音きつね
 テクノやサイケ等硬派でdopeなジャンルを得意とする潮音きつねさん。リアルの多忙により一時活動を休止されていたそうですが、昨年に続いて今年もMAに参戦してきました。今回は音ゲー全体でも珍しいジャンルであるClick Houseで参戦。本来音の切れ目のノイズは耳障りなものですが、それを逆手に取ったジャンルだけあり、細かなノイズが演出する独特のリズム感が癖になります。また、曲調から想像できるとおり譜面はスクラッチが多めの所謂「皿譜面」のため、この手の譜面が好きな方にはしっかり刺さるものとなっています。
 因みに使用されている音源の一部はY.さんの『d2』で使用されているものと共通のハード音源からとられているとのこと。

Unquenchable Fire / ANKAKE

 テクノから珍しいエスニックジャンルに至るまで様々なジャンルを手掛け、ラウンジ系音楽イベント「コバコノカクレガ」の主催も務めるベテラン作家のANKAKEさんが今回は独自ジャンルで参戦してきました。「低速ハードコア」という文字だけ見ると疑問符が浮かびそうな表現がなされていますが、作品に触れれば納得。ディストーションキックと太いベースが鳴り響き、メタルのようなシャウトが響き渡り、まさに「熱い鼓動」を刻んでいくかのような熱量が作品全体から感じられます。炎が燃えるBGAもさらに熱さを演出しています。譜面はANKAKEさん曰く「低難易度にもこだわった」とのことで、低~中難易度中心ながら非常に演奏感があり、作品全体からにじみ出る「熱さ」と「圧」を感じながらプレーできる譜面となっています。



 以上がTaWが個人的におすすめしたいMA2022のBMS15選です。言うまでもありませんが、これら以外にも会場には高クオリティなBMSが多数あるため、実際に会場を訪れ、作品に触れてみることをおすすめします。そして、作品をプレーしたらぜひ「インプレ」をしましょう。作者は「良いね!」の一言だけでも喜びます。また作家さんによっては返信で制作の裏話が語られたりすることもあるので、インプレをしたことがない方もこれを機に「インプレ気持ち良すぎだろ!」とインプレイヤーデビューしてみてはいかがでしょうか。でもエアプインプレや誹謗中傷は勘弁な。
 インプレ期間は7/4(月)まで。まだ2週間ほどあるため期間的余裕はありますが、過去のイベントの傾向から考えるに、直前の日曜日夜中でラストスパートをかける方が続出して会場が重くなることが予想されるため、早めの投下を意識するといいかもしれません。インプレは計画的に。

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