Technological audio Works. 情報局

BMS制作時の裏話とか載せるブログ。

2021年12月

 皆様お久しぶりですね。TaWでございます。世間より1日遅く29日で仕事が収まり、安心感からか所属鯖でのゲーム配信視聴中に見事寝落ちする等の活動を行いました。来年は絶対休み取ろう。

 さて、先日(2021/10/28~2021/12/26)、例によって毎年恒例のBOFシリーズのBMSイベント「THE BMS OF FIGHTERS XVII -VISION THE RETRO FUTURE-(以下BOFXVII)」が開催されました。
 現在(2021/12/30)まだ結果は集計中ですが、終了時点での暫定で個人スコア部門1位はSilentroomさん&Sobremさんの『Random』でした。お二方ともおめでとうございます!

 そして、拙作『TECHNO-LOGIC』は暫定24位、『重厚なる玄き盾シュヴァルツシルト』は暫定154位でした。




 え?

 24位

 24位


…全く同じ茶番を2連続でやるのも流石にアレなのでここからは先日の記事で書いていないTECHNO-LOGIC、そしてチームTECHNOHOLICについての裏話を書き連ねていきます。
(1/27追記:順位が確定しました。TECHNO-LOGICは24位、シュヴァルツシルトは150位でした。改めて皆様ありがとうございました。)


①結成編
 昨年のBOFの後、個人的に次はTechnoを作りたいと思っていたのと、昨年の反省(全体的に動きが遅かった)も踏まえ、結果が発表されるかされないかのあたりですでに何人かの人物に声をかけ、まずメンバーをそろえることにしました。
 チームを作るにあたって、私は2つのことを考えていました。
 1つは「テクノを主体としたチームを作る」ということです。これは私が前年テクノをほぼ封印していてフラストレーションが溜まっていたからでもありますが、同時に「テクノ」というジャンルについていろいろな解釈を見たい、と思ったこと、そしてテクノがもう少し見直されて欲しい、と1テクノ好きとして思ったからです。前者については「テクノ」と一口に言ってもその刺す方向性はまちまち(おそらく一般的な音楽を聴く人に『テクノってどんな感じだと思う?』と聞いたら多分YMOとか90年代のシンセ成分多めなアイドルソングを思い浮かべると思う)で、実際細かなサブジャンルについても分かるだけでMinimal Techno、Hard Techno、Hyper Techno、Techno Pop、Hardcore Techno…と(最後についてはさらに別の大まかなジャンルの上にくるジャンルだし)多岐に渡り、その解釈も人それぞれ、ならば敢えて細かなレギュレーションを設けず、4人の作家がそれぞれの解釈で「テクノ」を作ったら同じジャンルテーマのチームでも彩が出て面白いしテクノを主体としている1作家として勉強にもなる、もし方向がかぶったらかぶったらでその人と自分は気が合うということでそれでよし、ということで敢えて細かなレギュレーションは設けず、でもテクノ系統を作ったことがあり、後述の条件に当てはまる知り合いのBMS作家数名をピックアップしヘッドハンティングすることにしました。後者については、昨今の音ゲー界隈において「テクノ」というジャンルはあまり流行っておらず、トレンドの音ゲーでも一部を除き全然収録されていない(自分のやってる音ゲーが偏ってる可能性も大ですが)という印象があり、近年のBOFでもそこまで話題にならないことが多かった(GdbG勢は毎年テクノ系統が収録される枠があるためかけっこう好んでる人が多いみたいですが)ため、この現状は1テクノ好きとして辛いものがあったからです。この件については後後また出てきます。
 もう1つの条件は「無名戦15・16・17勢を中心にチームを組む」ということです。正直なところ、前年の悔しさもあったのとさすがにいい加減結果を残したかったので「今年は本気で勝ちに行く」と決め、当初は本気でテクノチームをやるならそこそこ有名な人にもダメもとで声をかけるのも考えてみるか…と割と真剣に考えていたのですが、流石にここまでのイベントでそこまで結果を残せていない自分がお誘いするのは色々と畏れ多く感じたのと、割と気を遣わずに話せる間柄の方がチーム内で歯に衣着せずに意見できて作品のブラッシュアップがされやすい(実際昨年優勝チームであるウオウオは細かな打ち合わせとフィードバックを行っていたのが勝利のカギになったとkei_iwata氏が言っていた)、ということで無名戦勢の中でも特に交流が盛んである(と思っている)無名戦15・16・17勢で上述のようにテクノを作った経験のある作家さんに声を掛けました。また、譜面担当のサポートメンバーも無15・16・17勢の人に依頼しました。
 こうして1月上旬にはメンバーも決まり、MA_2021の作品作りも同時並行で行いつつBOFの作品もいよいよ本腰入れて作るか~と思っていた3月ごろ、メンバーの1人でエース楽曲を任せようと思っていた方が精神面の不調により創作活動が厳しくなった、とのことで参加を辞退し、メンバーに欠員が出てしまいました。このまま3人でいくしかないか…と考えつつもメンバーに相談したところ、MA_2021を待ち、そこでテクノ系統を書く人がいればその人をチームに引き入れるのも手だ、ということで、若干のリスクは承知(もしテクノ系統を作る人がいなかった場合チームとしての本格始動が大幅に遅れるため)で賭けに出たところ、有難いことにテクノ系統でMA_2021に参戦した人がいたため、その1人であるGRASSさんにコンタクトを取り、急遽メンバーに加わってもらいました。
 6月のとある事件で当ブログに荒らしが湧き、またその事件の影響でBOFの開幕が1ヶ月後ろ倒しになる、という多少のハプニングはありましたが、6月にはチームとして本格的に動き出すことができました。


③作曲編
②はどうした!?と突っ込みが入りそうですが、某氏の記事をパクってに影響を受けてBOSS曲編と時系列順にクロスオーバーするようにテーマがナンバリングされます。
 チームを結成した少し後から楽曲制作も開始し、当初はちょうどマイブームになっていたHard TechnoかHyper Techno路線で出ようと思っていました。そしてある時、こんなことを思いつきます。
scsho_04
そうしてwipをその方向で制作し、いざラフを聴いてみたところ、「これただのHardcore Technoじゃん!」となり、自分の目指す方向性と明らかに違うと思ったため没にしました。ただこれが皮肉にもシュヴァルツシルトの下地の1つになるのであった…。
 そうこうしているうちにMA_2021に向けての準備が本格化してこちらは後回しになりがちになり、結局本腰を上げて楽曲制作を再開したのはMA_2021開幕後の6月。ただ、これでもいつもより2か月近く早いです。逆にいつもが遅すぎるんじゃボケ!
 制作にあたり、奇をてらうのはやめて自分の中での「テクノ」のイメージをそのまま曲に投影し、アウトプットすることを最優先にしました。私の中でテクノというと、初期の五鍵に入っていたクラブユースなビート成分中心でdopeな感じ、良く言えばストイックで悪く言えば地味な感じの方面よりも弐寺ナンバリング後期からDistorteDあたりに入ったD.J. SETUP氏やDJ MURASAME氏の作る、いわゆる「音ゲーテクノ」の原型みたいなものやタイトーのSTGでお馴染みのOGR氏やTAMAYO氏、COSIO氏の曲っぽい方向性、無理やりいうなら「ゲームミュージックとしてのテクノ」が最初に思いつく(実際そこから入り、後に狭義の意味のクラブミュージックとしてのテクノの魅力に気づいた)ので、方面としてはその感じ、特に自分の中で強く影響を受けているDJ MURASAME氏とCOSIO氏の作風を参考にして作りました。
 チーム登録時のチームコメントに書いた怪文書の内容は、実は自分の中でのテクノのイメージが投影されたものだったりします。実際後述のように”ビートパートでリズムを刻み、「グルーヴ感」を感じたり、シンプルな低音と打楽器だけの構成に「美しさ」を感じたり、打って変わって細かな電子音を次々叩いて「打鍵感」を感じたり、アコースティックとは対極に位置する、所謂「電子楽器」から「未来感」を感じたり”する感じの曲ができたと思っています。
 曲の持つ雰囲気としてはクールで無機質な感じ、それでいて細かなアルペジオが散らされていて中盤からリードが入ってくる、という風に大まかに曲の展開を配置し、シンプルなジャンルだからこそ細かな音の粗はすぐにわかるので使用する音色やサンプルには注意し、音切りの面倒さとかは考えずにアルペジオにフィルターをかけたりアシッドベースをグニャグニャさせたり…とちょうど入ってきていたMA_2021の作品のインプレも参考にしながらとにかく丁寧に作曲を行いました。当初、最初に作ったラフでは曲中細かく鳴っているアルペジオやFXはなく、もっとシンプル、悪く言えば殺風景でした。しかし、以前テクノを作った時「もっと音に遊びを入れるといい」という感想をいただいていたことを思い出し、また音ゲーとして演奏する上で細かな音を叩けた方が楽しいし実際リファレンスにした作品をよく聞いてみると結構いろいろな音が鳴っており、後で譜面を任せる譜面作家さんや実際に遊ぶプレイヤーのことを考えると音ゲーとしての「叩かせどころ」があった方がいいよなあ…と思い、SFXやアルペジオを調整しつつ部分部分に継ぎ足していきました。また、キックとベースには特に気を遣い、ベースについては低・中・高音の三種類(サブベース含めず)を使い分けています。
 そして試行錯誤しつつ曲が完成したのは7月後半、メンバーのフィードバックを聞きつつミックスとマスタリングが完了したのが8月の終盤。結局少し押す感じのスケジュールになってしまったなあとこうして見ると改めて思います。


④BGA編
 BGAについてはMA_2021での経験もあり、しっかりした人に依頼するのがやっぱり勝ちにいく上で重要だ!と思い、今回もBGA作家の方に依頼を飛ばすことにしました。で、ここまで無15~18勢で固めたならBGA作家さんもそのレギュレーションからお呼びしたい…ということでMA_2021参加者でビジュアル面の方がメインであるらしいMES19さんに声をかけたところ快諾していただきました。そしてデモ音源をお渡しし、コンセプト等の共有のためのやり取りを数回行い、約1か月後、めちゃくちゃ高クオリティなBGAを仕上げていただきました。

 いやヤバすぎでしょこれ。本家に入っててもおかしくないクオリティじゃん。
 MES19さん本当にありがとうございました…!!

 そして9月25日、BOF開幕の約1か月前にcrossworldさんのBGAと同時に先行公開しました。これが功を奏したのか、結構界隈では話題になっていたようで本戦前ながらスタートダッシュとして確かな手ごたえを感じました。


⑤譜面編
 BGAをMES19さんにお願いしたのとほぼ時同じくして、譜面を譜面担当者のLennonさんとratさんに依頼しました。このところBOFでは発狂差分を除き基本的に譜面は自作してきた私ですが、今回については譜面のクオリティについても妥協しないでいきたい、ならその専門家にできる限りの部分はお願いするのが筋だろう、ということでHYPER以上の中・高難易度譜面については譜面作家さんにお願いすることにしました。依頼するにあたり、Lennonさん(HYPER以上のメイン譜面担当)にはゲーム性と打鍵感の両立という方向性で話を進め、ratさん(rather差分でお馴染みの人、癖強めな特殊譜面を依頼)には氏のセンスを信頼し「癖譜面をお願いします」とだけ伝えてあとは全部任せました(丸投げとも言う)。結果、オーダー通りのこれまた高クオリティの譜面が到着し、「やっぱり専門家は違うなあ…」と改めて驚きました。特にratさん、毎回謎技術持ってくるの何なんですかね…?(最大限の賛辞)
 因みに7鍵の低難易度譜面についてはさすがに自分で作りました。配置するにあたり、高難易度や癖要素は他の譜面で派手にやっており、またテクノ系楽曲が警戒されやすい理由の1つである本家の某氏の曲でありがちな「低難易度譜面でも癖が強くて詐称気味」という要素を徹底的に今回は排除しました(あれはあれで嫌いじゃないですけどね)。そのため、BEGINNERとNORMALはテクノ系統の譜面の王道セオリーから敢えて外れた配置があったり、皿との同時押しが極力抑えられていたりします。ただ、それだとただの歯抜け譜面になるので、何を叩いているのかがわかりやすい音取りも同時に意識しました。
 で、ここまで作ってきて「どうせテクノなら5鍵もあった方がその手の人たちからの需要もありそうだし雰囲気があっていいよね!」という欲が出てきたため、急遽5鍵譜面も作ることにしました。制作にあたり、過去に5鍵譜面をそこそこ作った経験のあるsyuuroku氏にサポートをお願いし、5鍵HYPERについては後半部分について改善版の譜面を用意していただきました。本当に頭が下がります…。5鍵は7鍵と打って変わり、縦連打とトリルをこれでもかとばかりに配置し、5鍵ならではの強みと7鍵では自重気味にした癖要素を前に出したタイプの譜面にしました。こちらは5鍵プレイヤーに好評だったようで、前向きなインプレをいただいたため実装してよかったと思っています。


⑧結果と反省編
 こうして多くの部分をチームメンバーに支えられながらなんとか前日にはすべてのスタンバイが完了し、開幕と同時に登録し20番という早めな登録番号でアドバンテージを確保、特に不具合報告もなくインプレ期間を迎え、そしてありがたいことに多数のインプレをいただき閉幕を迎えました。
 その結果が…暫定ですが24位ですよ?過去最も良かった回でも100位台後半だったのに…。あまりの伸びに作者が一番驚いています。数え間違いかと思い5回くらい数え直しました。
 今回はMA_2021同様に全体的に高めの評価をいただき、最終的な減点要素はやっぱり個人の好み的な部分なのかな…という部分が多かった気もしますが、結構細かな点まで切り込んで改善点の指摘をしてくださった方もいました。高得点インプレは勿論嬉しいですが、こうして細かな点を指摘していただけると勉強になり今後の作品に生かせるのでかなりありがたいです。指摘だらけでメッタメタに刺されるとさすがに凹みますが。
・展開がもう一歩
 音ゲー的な見せ場は十分に作れたと踏んでいましたが、サビ以降はまだまだ甘い部分があったみたいです。確かにリファレンスにしたDJ MURASAME氏の楽曲を改めて聴いてみると「流れ」はキープしながら展開に表情をつけているため、音ゲー曲としてのテクノを極めるにはやはりその展開でのメリハリが自分にとっての1つの課題なのかな、と思いました。
・音はまだ作りこめる
 今回(というよりも毎回ですが)、音色についてはアシッド成分とサブベースを除いてほとんどサンプルとNexus3(現在はNexus4)のプリセットに頼ったため、無難な感じに仕上がった一方でまだ作りこめる!というインプレもチラホラありました。やはりシンセをいじるべき時が来ているのかもしれないなあ…。

 私事で恐縮ですが、今回ライバル視していたチームのリーダーからインプレをいただけたのがかなり嬉しかったです。詳しくは後述します。


【余談】どむどむチームと殴り合った感想
 会場を見て…というかチーム登録時点で気づいていた人も多いと思いますが、今回テクノジャンルを掲げ出場したのは本チームだけではありません。IDM、Experimental、エレクトロニカ、テクノ(狭義)等のジャンルを主軸とし、硬派で深みのある作風に定評のあるどむどむこと空読無 白眼氏率いる「ジャンル表記に困ったらTECHNO」チームがチームジャンルとしてテクノを掲げており、意図せずともテクノ系2チームの対決が発生する、というような構図が発生してしまいました。まあ他にもテクノ系統で固めてきたチームや作家さんは結構いたんだけどね。
 こうなるにあたり、チーム登録時にチームメンバーから「すごいところとかぶっちゃいましたね(※空読無 白眼さんのチームには無名戦優勝経験者でその後のイベントでも安定した実績を誇るKyuzo Sameura氏、ベテランテクノ作家のzatsuzatsu氏やこれまた作品のクオリティの高さに定評のある牧野氏が所属しており、リーダーの空読無 白眼氏もGdbG収録経験者で作品も独自の強さを持つ確かな実力者)」と不安に思う声が来ましたが、個人的にはむしろ先述のようにチーム結成のきっかけにテクノジャンルがもっと注目されて欲しい、というものがあったので勝ち負け関係なく結構展開として美味しいのでは?と思い、遠回しながらもライバルアピールする等何となく「対決するぞ~」的な空気を作っていました。相手にしてもらったかどうかは別として。
 そのため、TECHNO-LOGICに空読無 白眼さんからのインプレが来た時、「見ててくれたんだなあ…」となんか感動してしまい割とマジで泣きそうになりました。
 私自身もジャンル表記に困ったらTECHNOチームの作品を全作プレイしたわけですが、テクノと一口に言っても作者ごとの個性が顕著に出ているな…とかなり勉強になりました。個人的には牧野さんの『S.Q.4.D.』が特に好きです。
 この対決の枠に限定しなければあとはLicicaAさんの『キユビック』とGymholaxさんの『Aztec Alter』が今回のテクノ方面の作品では特に気に入ってます。utzboさんテクノもいけるんですね…。何でも書けるなあの人…。
 結局最終的に言いたいことがまとまりそうでまとまりませんでしたが、好きなジャンルを同じくするチームが別にあり、そこを意識しつつお互いの作品をプレイするのは普通に楽しいし、同時に切磋琢磨できて勉強になるので良かったと思います(無難な感想)。
 そしてもう1チームの方も別のチームとテーマ被りをしていたのですが、それはまた別の話。

 今回のBOFがBMS界隈におけるテクノジャンルリバイバルのきっかけになることを願いつつ。


 今回、まさかの好成績に歓喜しつつも未だ信じられない思いでいる今現在ですが、やはり今回の結果はチームメンバーの協力がなければ絶対に無理だったと思います。登録目前まで譜面を微調整し、高クオリティな譜面を作ってくださったLennonさん、例によってこちらの期待を裏切らないセンスで癖譜面差分を作ってくださったratさん、サイバーで曲に120%シンクロしている最高のBGAを作ってくださったMES19さんの3人には特に感謝しています。マジで感謝しかない…。そして自分の「テクノチームを作りたい」という趣味全開な呼びかけに応じてくださったsyuurokuさん、crossworldさん、GRASSさん、本当にありがとうございました。wipへのフィードバックから愚痴の言い合いまで付き合ってくださりこちらも感謝しかない…。
 改めて良いチームだったと思います。やっぱり好きなものを同じくする人が集まるのはどんな形であれ良いですね。

 さて、こうしてめでたく30位入りしたTaWですが、実は来年のチームについては現時点でまだノープランです。果たして来年はどうなるのか…。ただ多分出るとしたら次回は1作にしておこうと思います。

 締まらない感じですが、これにて本記事は閉じさせていただこうと思います。




【おまけ】TECHNO-LOGICのリファレンス一覧
・quasar / OutPhase ( beatmania IIDX 9thStyle )
・Be quiet / Ryu☆ ( beatmania IIDX 11 RED )
・COZMIC OPERATION / COSIO ( GROOVE COASTER )
・Awake,Speedy / DJ MURASAME ( crossbeats.REV )
・TECHNO BLINK / DJ MURASAME ( polytone )
・O/D*20 / Ryu☆ / (beatmania IIDX 25 CANON BALLERS )

 皆様お久しぶりですね。TaWでございます。年末の癖に私は29日まで仕事ですが、在宅を逆手に取り現在開催中のRTA in Japanを作業用BGM代わりにして何とか生きてます。来年は絶対休み取ろう。

 さて、先日(2021/10/28~2021/12/26)、例によって毎年恒例のBOFシリーズのBMSイベント「THE BMS OF FIGHTERS XVII -VISION THE RETRO FUTURE-(以下BOFXVII)」が開催されました。
 現在(2021/12/28)まだ結果は集計中ですが、終了時点での暫定で個人スコア部門1位はSilentroomさん&Sobremさんの『Random』でした。お二方ともおめでとうございます!

 そして、拙作『TECHNO-LOGIC』は暫定24位、『重厚なる玄き盾シュヴァルツシルト』は暫定154位でした。
 本記事では例によってまず『重厚なる~』の裏話を…



 え?

 24位

 24位

 24位
 
 24位


 マ
 ジ
!!!!!!!!!!!!!!!
 
????????????????


※これ書いてる時点ではあくまで暫定です。
(1/27追記:順位が確定しました。TECHNO-LOGICは24位、シュヴァルツシルトは150位でした。改めて皆様ありがとうございました。)

 えー、取り乱しましたが、まさかの2桁台、しかも(暫定とは言え)30位以内入りという事実に作者が一番驚いております。シュヴァルツシルトの方も昨年より高いし今年は何があったんだ…??
 TECHNO-LOGICについては語りたいことが山ほどあるので、本記事ではまず書くのが簡単そうな方チーム「BOSS曲」にて出場した、重厚なる玄き盾シュヴァルツシルトについて裏話等を書き連ねていきたいと思います。お時間のある方は少々お付き合いくださいませ。


②打合せ編
 なんで最初が②なんだよ!!と突っ込みが入りそうですが、某氏の記事をパクってに影響を受けてTECHNOHOLIC編と時系列順にクロスオーバーするようにテーマがナンバリングされます。
 なんか微妙な感じのテーマから始まりますが、当初から私はBOFXVIIに出場するつもりではありました。ただ、完全に「勝ちに行く」心意気でチームを組んだTECHNOHOLICに対し、もう1チームについては昨年の結果発表後、しらいしさんと「今年は2人でまったりやりましょうか」的な話をした程度でそれ以外の細かな方向性などは一切決めず、「TECHNOHOLICは本気で勝ちたいし、こっちはエンジョイ枠で『複数作出せてえらいね』的なアピールできればいいかな~」とか考えながら気づいたら9月、チーム登録締め切りも近づき、そろそろ動こうか的な話をしていたところで、

TaW「テーマどうします?」
しらいしさん「取り敢えずドラマチックな感じでいこうか ボス曲とかどうかな?」
TaW「今回は単身1曲ずつ、できたら合作1曲の計2~3曲くらいで出ましょうか」
※実はこの時しらいしさんと特にイベントに出すとかはなしに何となく合作しようぜ的な話が出てきてwipがちょうど作られていました。なおそれは未だに放置されている模様。
しらいしさん「…TaWさん、4曲のチームに2曲のチームって勝ち目無くない?」
TaW「…ということは…?」
しらいしさん「どうせなら4曲しっかり出そうよ!

ということで当初はゆるくまったりやるはずが気づいたらガチでやることになり、しかも作品数も最低限のはずが枠最大まで使うことに…。さすがにTECHNOHOLICのタスクやリアルの仕事との兼ね合いもありこれ以上多くは自分でも作れそうになかったため、ダメもとでチームメンバーを募集することにしました。ただ、締め切りギリギリに募集して最終的に大きなトラブルもなく本戦を迎えたケースを自分は見たことがなかったため、募集する際に「BMS制作経験者で締め切りを確実に守れる人」という条件を付けました。今思うとこの判断は正しかったと思います…理由はあえて言いませんが。
 締め切りまでそこまで余裕はなく、さすがにこのタイミングで参戦希望者はいないだろうし、どうしらいしさん説得しつつ妥協点探るか…とか考えていたらなんと募集をかけたその日のうちに参戦表明があり、枠が埋まりました。F.Wynndさん、SOMONさんマジでありがとうございました…。


⑥作曲編
 で、チームは決まったわけですが、チームの方向性と同じくらい二転三転してるのが私の楽曲の方向性です。やっぱり俺のせいじゃないか
 当初、ここ数年出ていたチームであったTeamXの番外編的なのをやろうかなと思いwipを制作していたのですが、昨年限りでいったん活動休止しておいて今年もXでした!とかではさすがに芸がないしTeamXの残りメンバーをハブったようで申し訳ない、しかもやるとしたら緩い感じではなくかなりガチな感じになりそうだしそうなるとMA_2021やTECHNOHOLIC側の作品に支障が…(wip作り始めたのは3~4月ごろ)と思い、今年はやらないことにしました。Xのストーリーが完結するのはいつになることやら…。
 そうこうしているうちに8月になり、RiJ Summerを見つつ開催を控えていたBE MUSIC IN THE DARKに向けた作品作りを行っていたのですが、自分のやりたいネタが技術不足ゆえに実現が厳しくなり、泣く泣く諦めざるを得なくなりましたまあ普通に作業ペースがクッソ遅れていて締め切り落としそうだから辞退したという側面もあるのですが
 ※なお締め切りが延びて結局出たのはまた別の話。
 そこで結局完成できなかったwipを所々妥協しつつどうにか形にしたのが9月にしらいしさんと打ち合わせをした頃。BOSS曲テーマになった理由の1つは、実はちょうどその打ち合わせでそのwipをしらいしさんに聞かせたことだったりします。後述のとおりこちらも最終的に没になってますが。
 そうしてチームメンバーも決まり、本格的に動き出したところで…

しらいしさん「ボス曲と言えば四神テーマだよね!これでいこう!」
F.Wynndさん「いいですね!2つ名みたいのつけてみましょうか。『勇壮なる蒼き龍』とか…」
TaW「いい感じじゃないですか!(四神に合うかな俺の曲)」

 結論から言うと、こじつけでテーマに合わせるのはさすがに無理があったため、この時点でのwipも没になりました。

【宣伝タイム】
 結局BOFの曲としては没になってしまったこの時の曲ですが、完成まであと1割というところまでいっていたためさすがに勿体ないということでBOFの作業と並行で編曲も済ませ無事完成までこぎつけました。
 そして先日開催されたM3 2021秋にてPhysitaker様から頒布されたコンピレーションアルバム「RHYTHM GAME MUSIC ESSENTIAL 2」のDisc : EXPERTの18曲目に収録していただきました。
私の曲以外にも同じく無名戦15勢であるHiyさんのBOFXVI参戦曲『last decisive』等、34曲のパワフルな音ゲー曲が入っている聴きごたえ抜群のアルバムで、また購入した場合音ゲーへ自由に使用可能という音ゲー開発者さんを応援する特典もあるため、音ゲー曲が好きな方、音ゲーを開発しているけれど収録曲をどうしようか迷っている方にオススメです。bandcampならフル尺で試聴もできるぞ!
【宣伝ここまで】

 …で、1から曲を作り直すことになったTaWですが、この時点ですでに9月も下旬。イベント登録開始が10月28日のため、スケジュール的にもうほとんど猶予は残っていませんでした。
 ここにきて辞退は自分としてもやりたくないしチームに迷惑がかかる、でもバリッバリな音ゲーコアとかは自分の技術的にも締め切り的にも難しい、最終的に自分に割り振られたテーマである「玄武」をどう表現するか…と考え、しらいしさんから玄武はSchranz的な方面がいい、という話が出ていたのもあって自身の得意ジャンルであるTechnoの流れをくむSchranzで大まかなジャンルは進める、ということにしました。本家の『Gravigazer』やSDVXの(BMSからの移植ですが)『Absurd Gaff』、crossbeats.REVの『angelik-vice』やCHUNITHMの『Devastating Blaster』等ボス曲でSchranz要素を持つ曲は結構ありますしね。
 作品のreadmeに書いたことと一部かぶってしまいますが、「玄武」テーマで音ゲー曲、となると否が応でも思い浮かぶのが本家の『Ganymede』です。静かだけどどこか重厚で威圧感のある曲調、100BPM未満という音ゲーボス曲としては(自分の中では)桁外れの低速…と音ゲー史に残る曲なのは確かですが、本作において自分はあえてそう言った要素を意識しないようにしました(特に低速要素は絶対にやらないと決めました)。正直MA_2021辺りにあった某騒動のトラウマが尾を引いていた部分も少なからずありますが、結局そういった要素に縛られすぎると表現の幅が狭まってしまい、それで自分に余計なプレッシャーがかかって曲が書けずにリタイア…という流れが見えたため、ちゃんと違和感ないようにモチーフについて表現するというラインは明確にしたうえで「自分なりに」表現する、ということを念頭において作品作りを進めることにしました。
 作るに当たり玄武についてちょっと調べたのですが、玄武は北の守護神であるだけでなく陰陽五行説で水を司る水神だったり、北=死を思わせる方角(「北枕」とかよく言いますよね)ということで現世と冥界をつなぐ役割を持っていたりと、単にバカでかい亀(超失礼)なわけじゃなくて色々とその立ち位置を解釈されてきた歴史を知りました。
 そして、「水」、「冥界」、「甲殻」というキーワードから、私の脳裏にとあるゲーム、そしてとある怪異ネタが思い浮かびました。
 1つはSubnauticaというインディー開発のオープンワールドアドベンチャーゲームで、主人公は四方八方が海の惑星に不時着し、脱出するべく探索を行う、というのが大まかな設定なのですが、このゲームにおいて強烈な印象(とトラウマ)を残す要素の1つにリヴァイアサンという水棲巨大生命体の存在があります。潜水艇をも破壊できるほどのパワーを持ち、咆哮を上げながらプレイヤーに向かって襲い掛かってきたり、プレイヤーには目もくれず海底を掘り起こし黙々と食事をしていたりと結構グロテスクな見た目も相まってものすごい存在感を放っているのですが、そんなリヴァイアサンが出現する海域のBGMは海の「広大さ」と「深さ」からくる絶望感が表現されていて、よりプレイヤーに恐怖をあおってきます。上記の要素でこのゲームを思い出してネタ集めのためプレイしていてこの感じからまさにこれだ!と思い立ち、曲全体に漂わせる雰囲気の参考にしました。なんでこいつは制作期間にのんきにゲームやってるのかねというツッコミは無しででお願いします。
 もう1つはSCP Foundationというネット上の怪異創作コミュニティの中に登場するSCP-169という生物(?)です。こちらも通称はリヴァイアサンなのですが、スケールが尋常ではなく、大陸レベルの大きさを持ち、こいつが目覚めたら人類が滅びかねないような危険存在になるということで作中では警戒されています。まあ執筆時点ではのんきに寝てるんですけどね。水でバカでかい存在…と聞いて思い浮かんだのがこいつで、人類滅ぼしかねない、ということはある意味ラスボス級、曲のモチーフとしては申し分ない、ということで玄武≒リヴァイアサン、みたいな感じのイメージで制作することにしました。
 その結果、当初は割とシンプルなSchranzだったはずの曲はやがて水の音が入りストリングスが入りティンパニが入りブラスが入り…とどんどんシンフォニックな方向に進み、最終的に現在の姿になりました。
 作った感想としては、ミックスがマジで意味不明。Schranzパート単体でグルーヴ感と疾走感(いわゆるズンドコとかドンシャリとか表現されるリズム)が出ていたにもかかわらず、オケを重ねたら一気にのっぺりとしたミックスになってしまい、低音を強調すべくローを少し上げて飽和気味なハイを一気に切って…と試行錯誤するも、出来上がったのはやっぱりコレジャナイ感が残るミックスでした。オーケストラ系BMSで自然なミックスできる人、本当に尊敬します…。


⑦BGA編
 ZGameEditor Visualizerでなんかいろいろ適当にいじってたらできました。

おわり


 …いや、マジで今回はこうとしか言いようがないです。追加拡張ではなくデフォルトでこれがついてくるFL Studioは最高!ただしばらく使うことはないかもしれません…(LR2でのフォーマット合わせとフレームレート合わせがめちゃくちゃ面倒だったので)


⑧結果と反省編
 そうこうしながらもなんとか登録期間中に間に合い、インプレも例年より多くいただいたうえで閉幕を迎えたわけですが、(暫定ですが)こちらも何故か昨年よりも高い順位を取り、全体的な評価もそこまで悪くはない、という結果になり安心しつつも驚いているような複雑な心境です。
 インプレで来たご指摘を所々見ていくと、

・低音が欲しい
・高音が欲しい

 どっち???
 
オーケストラ系のミックス、めちゃくちゃ闇が深いです。誰か助けて…。

・展開が単調
 リファレンスが割とシンプルな曲構成なのメイン(この記事の後ろの方に一覧書いときます)なのと例によってTaWがメロディー作るのが下手で、そこの影響はあると思います。正直曲を作る段階で音ゲーコア的な「映え」は捨ててるわけですし…。やっぱり空間系や鳴り物系で奥行きを出せば変わっていたんでしょうかね…?逆にシンプル寄りな展開でいかに曲に表情をつけるか、楽器の入れどころ抜きどころを試行錯誤できるといいかな、と某氏のインプレを読んで思いました。

・HCN譜面について
 これ、気づいた人はどれくらいいたんでしょうか?個人的にはSPA譜面を敢えてLN要素無しで配置したので、LN入れたANOTHER的な差分の意味合いでおまけ要素として入れました。あと個人的にLNよりCNやHCNの方が好きで、尚且つボス曲ならHCNでしょう!という完全なTaWの嗜好に基づくものなので合わなかった人がいてもおかしくはないと思います。

 とにかくミックスの壁があまりにも厚すぎてそこで差がついた感が強いです。今までのテクノやトランス等の電子音楽要素と勝手があまりにも違っており、インプレを見ても直接の解決のヒントになりそうものは得られず、やはり場数を踏むなりYouTubeのtips動画を見て勉強するなりしないとなー、と思う今日この頃です。何より来年シンフォニック音源から逃げられなさそうなイベントが1つ控えていますし。
 また、何より制作期間が十分に取れなかったのは悪い意味でTECHNO-LOGICと対照的に出てしまっており、もし両方とも本気で結果を出すことを狙うのであれば2倍の制作時間をあらかじめ確保しておくべきだったな、と思いました。ただ、本作は前述のとおりもともとはそこまで勝負をかけるつもりはなくゆるい感じで作られる予定であったのも事実のため、致し方なかった面もあったのも事実です。最初からそこまで好戦的な作品を作るつもりがなかったのであれば、余計な迷惑をかけないためにも(ゆるい作品を作ると言っておいて変な話ですが)初志貫徹する意志の強さは必要だったと思います。
 強いて言うなら、「方向性を決めるのが遅すぎた」。次回複数作出すなら、ゆるくいく場合は早めにコンセプト等は決めた上でまったり行こうと思います(まったりとは?)。

 なんだかんだ言って、ぎりぎりで集まったメンバーでありながら、限られた時間でお互いにフィードバックしあい、アイディアを出し合うことができたため、チームとしてはかなりよくまとまっていたと思います。特にF.Wynndさんには高難易度譜面を作るうえでアドバイスを多々頂き、テストプレイにも協力していただいたので非常に感謝しています。そして、チームリーダーをしていただいたしらいしさん、参加していただいた上チーム全体のボスポジションの曲を引き受けてくださったSOMONさんにもこの場を借りてお礼申し上げます。
ありがとうございました!AC収録経験者で発狂難易度表に入るようなボス曲作家とA-1優勝経験者でWWでも4位入賞した実力派作家と一緒のチームというよく考えなくてもヤバい面子でよくプレッシャーに負けなかったな、自分…。

 取り敢えずシュヴァルツシルトについてはこんなところです。もう1つのチーム、そしてもう1つの作品については次回の記事をご覧ください。




【おまけ】シュヴァルツシルトのリファレンス一覧
・angelik-vice / void ( crossbeats.REV )
・conflict / siromaru + Cranky ( BOF2011 )
・CHASER / siromaru + Cranky ( Individual Shred-Core )
・Crush Depth / Simon Chylinski ( Subnautica )
・Lost River / Simon Chylinski ( Subnautica )
・Pacific Rim / Ramin Djawadi & Tom Morello ( Pacific Rim )

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