Technological audio Works. 情報局

BMS制作時の裏話とか載せるブログ。

2020年09月

こんばんは。TaWです。 なおこの記事を書いているのは日中の模様
今回もWORLD WARに参戦した作品の裏話を書き連ねていきたいと思います。
お時間のある方は少々お付き合いくださいませ。

今回は本名義で出した作品である「torpedo」について扱います。 
※偽名で出した作品である「Xenokiller」についてはこちらをご覧ください。 


⓪事の発端
こっちにも前日譚あるのかよ!もういいよ!という声が聞こえてきそうですが、いろいろ複雑な経緯を経て私はtorpedoをWWに向けて制作することになりました。ここに大まかなその経緯を書きます。
Xenokillerの記事でも触れましたが、私は当初TaW as X名義でオーストラリアから参戦する予定でした。楽曲も、当初は音ゲー的なトランスコア的なものを想定していました。
しかし、X名義のテイストを入れた楽曲とオーストラリアという国を思い起こさせる要素の相性があまり良くなかったこと、とある楽曲の存在がどうやっても脳内にチラついてしまい(複数曲ならそれらをリファレンスにして自分の要素を入れる形で楽曲面に昇華できる(と思う)のですが、1曲に集中しておりしかも自分の要素を入れられないほど引っ張られてその曲のほぼ完コピになってしまうという最悪なパターン)自分の作品として落とし込むことが困難になってしまったことにより断念せざるを得ず、「せめて国だけは変えずに頑張ろう」とTaW名義にてオーストラリアっぽい感じの曲を作ろうとしました(具体的にはサンプリングヴォーカルを入れた夏っぽい感じのHAPPY HARDCOREを作ってました)。しかし、出来上がった曲があまりにもコレジャナイ感が否めない代物だったため(悪い意味で『自分の曲じゃなかった』)、結局悩んだ末に自分の得意ジャンルで自分のやりたいことをやるいつものスタイルに移行し、国もそれができそうなソロモン諸島に変えて (ソロモン諸島行ったことないですが) 再スタートを切りました。因みにこの間に2ヶ月経ってます。

①作曲編
そしてソロモン諸島に国を変更していよいよ本格的に制作フェーズに入ったのですが、この時点(7/18)でWW開幕まで3週間となっており、0からアイディアを練り直すのはとても困難な状況でした。本命もサブも作り始めるのがギリギリとかこいつ本当にやる気あるのか?そこで、兼ねてから温めていたアイディアを実行に移すことにしました。
どんな要素に影響を受けたのか、なぜそれをやりたかったのかは後述する項目に譲りますが、以前よりやりたかったネタの1つに、「全難易度通してプレーすると1つの楽曲になる」というものがありました。そして、それをやるべく以前から二度ほどwipやアイディアメモを保管しており、あとはまともな形にするだけ、という状態になっていました(因みに以前の記事で書いたA-1の妥協案のwipというのがこれの1つだったりします)。
もう選択肢は1つだけでした(ソロモン諸島に国を変えたのもそれをあらかじめ視野に入れてのことでした)。
ソロモン諸島→ガダルカナル島→海戦→STGの海上ステージ…という連想ゲームでテーマを決め、残していたwipやメモを元に構成を組み立てていきました。個人的にSTGというと80年代末期〜2000年代初頭の頃の作品の印象が強く、その頃の作品のBGMを念頭に置いて曲の構成や使用した音源は決めてあります。また、それっぽさを出すには実際に作品に触れるのが一番!ということで通勤時間に怒首領蜂のプレー動画を見たり、iOS版のレイフォースを久しぶりにやったりしてゲームの演出とBGMのリンクを研究したりしていました。
海上ステージっぽい透明感と高揚感があり、STGらしく射撃音や撃破音が映えそうな曲調を…という感じで前半部分はメジャー進行をベースに透き通った感じの矩形波のアルペジオを入れ、ボス戦BGMを想定した後半はテンポを上げ、疾走感といかにも「戦闘」という感じを出すために低音成分を増やし、金属系のSEや間奏部分にエレクトーンのアルペジオを入れました。「音ゲー曲」としてはかなり地味な存在になる、というのは大体予測できていたため、いかにその雰囲気を出してプレイヤーを作品世界に引き込めるか、という部分に勝負をかけました。
そして裏でXenokillerを作っていたのもあり、何とか音切りを終えたのが登録終了の前日。本来はそれよりも前に音切りが終わるはずだったのですが、何故かユニゾン部分で音切りの失敗が多発し、仕方がないのでその部分だけ手切りしていた関係でこちらもギリギリになってしまいました…。
楽曲部分については本当のSTGのBGMみたい、というインプレを多数いただき、割と好評だったようです。そういった点で雰囲気については妥協せずに作っていて良かったと思います。

②譜面編
そしてXenokillerもろとも譜面制作も締め切り間際になってしまいました…。
譜面についても当初は
・初期段階はN・H・Aの3つを常駐させておき、それらの最後1小節に何らかの形(地雷かBGA)で暗号を仕込み、
・隠しファイルとしてロング版譜面(とN・H・A音源のそれぞれ別難易度)を予めパスワード付きzipで入れておき、解読した暗号でパスワード解除、それらが遊べるようになる
・LR2IRでlong_mixのクリア達成者が5人を超えたらINSANE難易度として超高難易度化したA音源の曲変化差分を追加配信
という無駄に壮大な計画を練っていたのですが当然その状態では間に合うはずもなく、妥協案としてせめてギミックに気付いてもらうためにN〜Aだけは世に送り出そう…と思い急ピッチで譜面を作りました。Aは間に合ってないけど。
Xenokillerの方がありとあらゆる面でギリギリだったのもあり、最終的にテストプレーまで終えて登録期間に間に合ったのはNとH譜面のみ。結局Aとロング版譜面、そして最大の肝であったBGAは登録期間終了から2週間以上経った後に追加配信、という形を取り、何とか「評価期間には」作品が間に合いました。
結果的にこのことが後に大幅な減点を招いてしまうことになるのですが…。
譜面は実際のSTGの難易度幅を意識して制作しました。音ゲーとSTGはゲーム性がかなり異なるためその辺の落とし込みが難しいと思いますが(何故かこの2つを融合させてしかもそれを良ゲーにしたタイトーは本当に凄いと思います)、少なくともSTGにおいては最低レベルがいきなりかなりの難易度である、みたいなことは怒首領蜂シリーズや東方を除いてそうそうないと思います(自分が無知なだけかもしれませんが)。だからと言って最高レベルが簡単かと言われると当然そんなことはない。ということでNは局所難や強烈な理不尽配置を入れるようなことはせず、ノーツ数も少なめにし、Hは少し応用的な内容も入れてそこそこの地力譜面に、Aは(ボス戦を意識したこともあり)物量もエグい配置も大幅に増やしてかなりの高難易度に仕上げました。long_mixはSTGにおける通しプレー(まあアーケード版ではそれが普通なんですが)を意識し、内部難易度的には最上位なので全配置は強化しつつもtotal値は適正値の1/3に設定し、シビアなゲームバランスにしました(ただ、ノーツ密度的には全体的に同じくらいになっていると思うのでプレー感覚的には特に変わりないようにはなるよう音ゲー面には配慮した…つもりです)。

③BGA編
STGがテーマ、ということで、この作品にはBGAによる世界観の補完が確実に必要だと当初から思っていました。こちらも、当初の予定では実際のゲームプレーを模したドット絵アニメーション(コマ撮りは流石に自分の技術的に無理なのでオブジェクトを作りAviutl内で動かして作る)で全編作る予定でした。しかし、上述の理由で譜面制作が遅れてしまったため、ゲーム上の優先順位としては楽曲と譜面よりも下になってしまうBGAの作成も当然後回しになり、評価期間的に当初のアイディアの完全実現は無理だと思い至りました。
せめて世界観補完と演出面については妥協したくない、ということで作っていた素材(と所持していたフリー素材)を使用して本家の専用レイヤー+汎用BGAのような構成の映像を作り、何とかそれっぽいものを作り上げました。
最も時間がかかったポイントはやはりドット絵作画です。大型ボス(256×256)は当然サイズも大きくなるため、基本的に32×32のドット絵を専ら描いている身としては、細かいところまで描き込めるけれど拘り出したらキリがないという感じで、さらに部分部分可動状態にするためにパーツを分けたこともありあと何より筆者が遅筆気味なのもあり、作成に3日以上かかりました。
BGA中でもサラッと流されていますが、世界観設定としては「エイリアンが襲来し、海面が大幅に上昇した地球で反撃のために国連が秘密裏に作っていた水空両用戦闘機を駆り特殊部隊が出撃する!」的な感じになっています。ソロモン諸島ってことで海要素を入れたかったのと、海上ステージBGMという作品のコンセプトの説得性を増すために用意した部分もあります。実写パートで海底廃墟っぽい素材を使っているのと、CGパートで水没したビル街が流れるのはその辺の設定と関係があったりします。そこの映像はフリー素材なので全部自分が作ったわけじゃないけど。

④リスペクト元一覧
はい、一部の皆さんはお待ちかねのリスペクト元公開タイムです。
Twitterで散々匂わせていましたが、本作品自体が90年代のSTGのリスペクトという存在なのもあり、個人的に影響を受けた様々な作品の要素が入っていたりします。
☆楽曲面
・家庭用「beatmania IIDX 13 DistorteD」より「Shoot'em All」
・「怒首領蜂大往生」より「東亜」
・「レイフォース」より「Penetration」
・「レイクライシス」より「女の子にセンチメンタルなんて感情はない」
・BMSイベントPABAT2020のDolphinさんの作品「Aploach Your Target
☆演出面
・家庭用「beatmania IIDX 12 Happy Sky」より「Scripted Connection⇒」 (AC版と異なり隠し譜面としてロング版が遊べる)
・「ダライアス外伝」より「VISIONNERZ 〜幻視人〜」 (1面道中・ボス・2面道中通して流れる)
・「レイクライシス」のBGMの構成 (1〜4面を通して1つの長い曲が流れる)
☆デザイン面
・「怒首領蜂」の赤い機体
・「グラディウス」のビッグコア
・「怒首領蜂」の2面ボス
・「レイフォース」の3面ボス

⑤反省編
…とここまで裏話を書いてきたわけですが、そんなことがあろうとなかろうと容赦なく結果は残ります。
本作についてはA以上の譜面とBGAが追加されたタイミングで評価の傾向が結構変わったような気がします(まあ『作りかけ』と『完成品』とでは評価が変わるのは当然だと思いますが)。それだけに、これらの要素をもう少し早く追加できていれば…とその部分については悔しさが残りました。
インプレで突っ込まれたところとしては以下の点がありました。
(※印がついてるのは差分追加前に投下されたもの)
・曲の展開が冗長※
上述の通り、展開より世界観重視で作ったためこういった突っ込みは入るだろうなーと予想はしていました(毎回展開がショボいと言われてる気もするけど)。一応リズムパターンを変えたり音を足したりして後半になるにつれて展開が変化していくようにしたつもりではあります。ただ、過去に音ゲーでこういったギミックを入れた楽曲については、全譜面でそれぞれ明確に展開が異なっているため、そういった楽曲の凄さが改めてわかった気がします。Tatshさんは凄い。
あと何より世界観を補完する最大のポイントであるBGAが遅れたのが痛かった…。
・作りかけなので評価できない※
これについてはもう「遅れてすみません」としか言いようがないです…。
・音が小さい
もう一方の作品と異なり、こちらは音量調整をほとんど入れなくても十分な音量を確保できていると判断して出したのですが、そこそこ突っ込まれたため小さかったのかもしれません(直前までXenokillerの音量と格闘していたため相対的に大きく聞こえていたという可能性あり)。ミックス難しい…。
・音がショボい
「 90年代っぽい音」ということで古めのアナログシンセ音源を使用したのですが、恥ずかしながら筆者はシンセをいじって音作りをするのがめちゃくちゃ苦手なため(Nexus3をメインウェポンとして使っている主な理由がこれ)、それっぽいプリセットをぶち込みまくったのが多分裏目に出たのかもしれません。一応TB-303系の音のいじり方はこれを作った後に少しわかってきたので、何とか自分で音を作ることができるようにもなりたいと思います。まあ最新のプリセット買いまくってミックス側詰めた方が現実的かもしれないけど。

作品の構成やコンセプトについてはかなり好評価をいただいた印象があるため、やはり上位譜面とBGAが間に合わなかったのが最大の命取りになったのだと思います。そういった意味でも「Xenokillerさえ作っていなければ…」という気持ちになったのは事実です。
まとめると「『偽名を使えば複数作品登録可能 』というシステムの裏をかきたい」「せっかくのイベントなので音ゲーっぽい曲を書きたい」、この2つの誘惑に抗えなかったのが今回のイベントの私の敗因だと思います。
上述のようにtorpedoにおいて実現できなかったけどコンセプト的に入れたかった、という要素は多々あるため、別の機会にこれらの要素を入れ、かつ今回の反省点を生かした作品を世に出せたらな、と思っています。


最後の方はほとんど私の負け惜しみになってしまいましたが、WWの裏話としてはこんなところです。 
ここまで1BMS作者の嘆きに付き合ってくださった皆さまありがとうございました。
WWには高クオリティな作品が数多く登録されているため、未プレーの方は是非パッケージを落としてやってみましょう!


そして先日ついに結果が発表され、WWはエイリアンサイドの勝利、という形で幕を閉じました。
エイリアンにより蹂躙され、壊滅的な打撃を受けた地球。
終末世界で人類の残党は何を見るのか?
This story continues "BOFXVI -NEO DYSTOPIA-"... 

…これがやりたかっただけです。ではBOFXVIでお会いしましょう! 

昔の人は言いました。
「二兎追うものは一兎も得ず」


 お久しぶりですね。TaWでございます。最近はBOFXVIの曲の制作であたふたしております。
 さて、昨日をもってBMSイベント「WORLD WAR -BATTLE ROYALE IN ALL REGIONS-」のインプレ期間が終了し、イベントのメイン部分が閉幕しました。現在結果が集計中とのことなので、最終結果の発表を待ちましょう。果たして地球人はエイリアンを無事撃退できるのか…?

 そして、このイベントに私も参戦しておりました (まあこんな記事書くくらいだから出てないほうがおかしいけど)。前述の通り現時点で結果発表はまだですが、イベント終了直後にイベントページで確認したところ、拙作「torpedo」は暫定74位、偽名で参戦した「Xenokiller」は「下から」4番目でした。



…正直なところ、登録日に作品の一部が間に合っていなかった時点でこうなるのは何となく予想できました。
特にXenokillerに関してはこれでも健闘できた方だと思います。
取り敢えず、今回はWWでTaWが本当は何をやりたかったのか、裏で何があったのかを作品ごとに解説していきたいと思います。
要はただの負け惜しみ兼一人反省会です。特に今回の記事はあまりに見苦しい内容が書かれている可能性があるのでキツくなった方はブラウザバックを強くお勧めします。 

 本記事では、「Xenokiller」について扱います。


⓪事の発端
 そもそも何で私が偽名を使ってまでWWに2作品で出ようと思ったのか、というところから話は始まります。
 当初、私は「TaW as X」という名義でオーストラリアから出場する予定で、複数作出す予定は微塵もありませんでした。しかし、作品の制作を進めていくうちに壁にぶち当たり、「X」の要素を絡めたオーストラリアらしい作品を作り出すのが厳しくなってしまい、泣く泣く方向性を変えて再スタートを切りました(この辺の話の詳細は後日torpedoの裏話あたりで書きます)。
 そして出場名義もいつものTaW名義にしたわけですが、正直自分の中にはモヤつき感が残っていました。
「せっかくWORLD WAR(世界大戦)なのに、それっぽい感じの作品を出さなくて良いのか?」
「TaWとしては難しくても、X名義のテイストを使い、国に拘らなければ可能なのでは?」
そんな思いが自身の内側で渦巻いていました (この時点で十分死亡フラグとか言わない)
しかし、既に「TaW as X」という名義を(実際に作品内では使っていないにせよ)一度は表に出してしまったわけで、WWのルールの
作品は一人1作品までしか登録できない。
原則、1人の作者が他地域の援軍に回ることは許されない。
しかし、偽名や変名義を使用した場合、運営側は同一人物かどうか判断することはできない。
という部分に抵触する関係でX名義は(恐らく)使えない…ではどうする?ということで自分のやりたいことから作品コンセプトを考え、それと合致する国である日本から偽名で参戦することにしました。
 …今思うとここで我慢できていればその後の悲劇は避けられたかもしれません…。

①作曲編
 当初、全く想定していなかった方向性のため、制作は困難を極めました。しかも、本命作品と並行して作っていたため尚更です。さらに、筆者の勤務時間の関係で制作にまともに使える時間が1日2時間程度、というのが最大の足枷になりました。
 コンセプトとして、「日本から参戦→音ゲー、それも某本家を意識した曲」、「戦争→兵器をテーマに」、「譜面は一切自重せず、これまでX名義でやってきた事(=Xの文字押し)の延長的なものをやる」という点までは決まっており、ジャンルも某本家よろしく「SADISTIC HARDCORE」でいく、というのまではかなりすんなり決まったのですが、いざ実行に移すとなると歪みをかけたAcid系サウンドの扱いが難しい、とかうまく空間が埋まらずどうしてもチープさが出てしまう、とかサビのメロディーに違和感が出る、といった問題が次々と起き(9割がた自分の技術力のせい)、登録締め切りの前の週になってもまともな状態になってすらいないという惨状でした。
 一応、作者としては前半はAcid系で不穏な感じを出し、例の要素を入れるべく部分部分にアルペジオやスネア+クラッシュシンバル連打を入れ、中盤で兵器のエネルギー充填をイメージした「静」パートを入れ、サビで一気に盛り上げ、最後は縦連打+全押しでフィニッシュ、という構成で作ったつもりです。少なくとも私はそのつもりでした。
 その後、完成一歩手前までいったものの、サビの感じがどうも納得できず、中盤の繋ぎも違和感が残ったためその2箇所を作り直し、結局楽曲が完成して音切りが終わったのは登録終了の3日前でした(しかもその時点で本名義の方の作品の作業がストップしていたため、そのリカバリーの関係で作業日的には実質最終日ギリギリでした)。
 色々と押せ押せで、最終的に妥協してしまったり勢いでゴリ押してしまった部分が結構あったため、作者としても正直満足の行く作品にはなっていなかったのが事実です。

②譜面編
 楽曲の完成がギリギリ、ということは音切りと譜面作成にほとんど時間を取れない、というBMS作家にとってはさらに致命的な状況を意味します(A-1には1日で高クオリティなギミック譜面を4本仕上げる超人がいましたが)。幸か不幸か、今回の作品については譜面でどんな傾向の配置にするのかを想定した上で楽曲を作ったという側面が少なからずあるため、A譜面(とその差分)に関してはさほど時間がかからずに出来上がりました。しかし、本名義の作品の譜面制作(こちらは作品の特性上配置コピペとかがほぼ使えないため1譜面あたりの手間が大きい)が後に控えていたためNとHに割く時間が取れず、泣く泣くNとH(とSTAGEFILE)は未実装でそのまま会場に滑り込みました。
 譜面についてですが、差分を先に作り、そこからAを作るという方法で制作しました。差分の方は全押し、X字押し、シンメトリー配置、縦連打といった癖配置(というか人によってはクソ配置)を意図的に入れ、「譜面兵器」というコンセプトで「できるもんならやってみろ」というメッセージを込めてやりたい放題やりました。 Aよりも差分の方がLR2IRのクリアレートが高いのは内緒 A譜面はそれを元に、強烈な理不尽配置をできるだけ取り除き、物量配置中心に再構成したものです。具体的には乱打が増え、全押しとシンメトリーは削除、同時押しも個数が減りました。あとTOTAL値が地味に上がってます。X押し?どうしても入れたかったんだ!許せ!後日追加したNとHについては、Nは本家のSADISTIC HARDCOREがNの時点で全押しを入れていて流石にそれは非情すぎると思ったため比較的易しめな譜面に、HはAを弱くした形の配置にしました。余談ですが筆者は未だにダーティをノマゲ乗せすることができません…。
 譜面については絶対賛否両論出るだろうなー、と少し構えていましたが、思ったよりも否の意見が少なく好意的に捉えられていたのが良い意味で予想外でした。まあ、曲のクオリティがアレだったので相対的に良く見えただけなのかもしれませんが…。

③反省点編
 
この記事自体が長い反省文みたいなものなのでこの項目は要らないような気もしますが、一応まとめておきます。
・サビのメロディーが不安定 
 ???「フフ…へただなあTaWくん。メロディー作りがへた…。」
 はい、毎回言われるこのアドバイス、今回も頂きました。まるで成長していない…。
今回の場合、単純にメロディーの展開を練る時間がほとんど無かったこと、音色にこだわりすぎてメロディーそのものの出来が二の次になってしまったことが主な原因と考えられます。これを完成させた後、改めて某BMS作家の方のメロディー作り講座の動画を見ましたが、色々とできていないなあと思いました。
特に、リズムの分かりやすさや使用音域の幅については見直すべき点がかなりあったので、今後はその辺りを重点的に見ていこうと思います。 ここに書いた内容でだいたいどの動画見たかバレる気がするけど気にしない。 
 ・展開が強引
 これもそこそこ頂きました。譜面での演出に重点を置きすぎた代償だと思います。
 また、 この作品を作るに当たって結構な作品を参考にしたわけですが(実はSADISTIC HARDCOREというジャンルに公式で分類されている楽曲は今のところ2曲しかなく、同じ作者の似た傾向の作品全般をリファレンスとしました)、逆にリスペクト元を如何にして再現するか、その要素をまとめるか、という部分にいささか引っ張られすぎていた気もします。それらの要素を無理やりまとめようとしたら当然強引になりますよね…。インプレでも「リスペクトすることに集中しすぎて、大事なものを見失ってる気がします(意訳)」というアドバイスを頂き、まさにその通りだと思いました。
 もう1作の方にも言えますが、やりたいことが多くとも、1作あたりに実装できる数には限界がありますね…。
・音圧不足
 
絶対言われるだろうなーと思っていました。7dbも上げてるんだぜ、こいつ…。
トラック数を30以上も使い、さらに各種パッドやレイヤーもくどいほど入れてEQとコンプまでかけてこれだったので、多分別のところに原因があるんだと思います。ミックス勉強しなきゃ…。
お陰でプロジェクトが死ぬほど重くなりました。リメイクの足が遠のく…。
 因みに余談ですが、試聴用に書き出したwavの方も全くキレのないミックスになってしまっており、なんとも残念な気分になりました。Ozone使ったのになんでだ…。

 結論から言えば、うまくまとまらないものを無理やりまとめて「完成」として世に出した結果、それ相応の叩かれ方をした、という因果応報な結果になったと思います。最終日の時点で途中経過が最下位だったため、最終結果が最下位になることも覚悟しましたが、何とか最下位はまぬがれたようでホッとしています(クズ)。ただし、一度イベントで中途半端なものを作ってあまり良くない順位をとってしまった場合、人間の心理上「ああこいつは叩いても大丈夫だな」となりやすいため、自分の今後のBMS作家活動に暗い影を落としかねないことをしてしまった、とかなり内心穏やかではないのが事実です。
 とは言え、思っていた以上に高評価を入れてくださった方がいたのも事実で(人によっては本名義の作品よりも高い点を入れてくださった方もいました)、そういった方に響く作品になっていたのであれば作者としては満足です。
 ただ、もしもこれを作らずに本名義の方に集中していれば上位譜面やBGAがもしかしたら間に合っていた可能性もあるため、自身のスペックを良くも悪くも痛感しました。冒頭にも書きましたが、まさに「二兎追う者は一兎も得ず」になってしまった事例だと思います。そろそろ「作る量を絞って一作あたりのクオリティを上げる」フェーズに入ったのかもしれませんね。
 プレーしてくださった皆様、インプレしてくださった皆様にこの場を借りてお礼申し上げます。


 ここまで一作家の嘆きに付き合ってくださった皆様ありがとうございました。
次回は本名義で発表した作品である「torpedo」の裏話等のあれこれを書きたいと思います。 






















(割とどうでもいいおまけ)
Xenokillerのreadmeに書いた内容ですが、一応X単体名義としては前作のXeneXisのずっと未来の話、尚且つしらいしさんと合作した「GRiEFiX」とIFで分岐した世界の出来事、という設定です。その辺の話はまたいつか。誰得だよ 

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